めざましい発展を遂げている英語学・言語学研究について、音声学、音韻論、統語論、意味論などの主要分野はもちろん、歴史言語学、社会言語学、認知言語学、英語教育、コーパス言語学などの様々な関連領域における重要な用語約3200語を取り上げて、11の分野に分けて簡潔・明解に解説する。用語間の相互参照を多く設け、分野内・分野間の有機的連関を図るよう工夫された学習者・研究者にとって必携の用語辞典。
私たちを取り巻いているように見える外界も私たちの内面に感じる世界も、しょせん私たちの認知能力や認知プロセスによって捉えられ構築されるかぎりのものであり、認知主体から独立して客観的に存在するものはなにもない。本書は、言語の主観性・間主観性の問題に関して、ラネカーの認知文法のsubjectivityの概念と現象を座標軸・参照点にし、様々な言語現象との関わりで、諸研究を位置づけまた認知文法自体の新たな展開の提案を行う。
「語の意味」とは何か?『類語大辞典』の編集・執筆に関わってきた著者が、「意味の本質」「同義・類義・多義」「意味記述の方法」「辞書と意味記述」の4部に渡って、これまで深めてきた考察を明らかにする、「ことばの意味」の研究に大きく資する一冊。
辞書+文法書モデルを越えて、ネイティブスピーカーの直観に迫る。
子どもは言葉を覚えるときに、それ以前の赤ちゃん語を忘れる。そのように、言葉はいつも「消えてしまった言葉のエコー」である。そして、忘れることは創造の源でもある。言語の中にはつねにもうひとつの言語の影があり、失われた言語が響いている。言語の崩壊過程に言語の本質をみたヤコブソン、失語症を考察したフロイト、複数の言語を生きたカネッティ、死んだのに語る口を描いたポー、母語についてはじめて語ったダンテなどを導きに、忘却こそが言語が本来もつ運動性であることが浮上する。アガンベンの英訳者として知られ、30代で本書を著し、恐るべき知性として話題を呼んだ、ヘラー=ローゼンの主著。流離こそが言語の本質だと明かす、言語哲学の最重要書である。
本書は、福岡認知言語学会の設立20周年を記念した論文集であり、認知言語学の観点からの18編の論文を収録している。英語、日本語、中国語の構文や表現を理論的に分析したものから、歴史的研究やコーパスを利用した研究、さらに、認知言語学を英語教育に応用した研究まで、幅広い分野をカバーしており、認知言語学研究の広がりを示す一冊となっている。
商業・宗教・軍隊。ヨーロッパに息づく少数言語から、世界で息まく連合言語まで!ホモ・ロクエンス(話すひと)の驚くべき多様性がおりなす人類史をめぐり、ことばの「シェア」に秘められてきた三大要素をときあかす。社会言語学の泰斗による名著、待望の邦訳。言語分布地図・言語名索引付。
ディクソン教授の代表作『ERGATIVITY』の待望の翻訳がついに完成。21世紀の言語研究の柱の1つ、言語類型論を理解するために格好の概説書。
豊富な体験をふまえた通訳論。通訳者の社会・文化史的意義を本格的に研究した、初めての書。経験・知見にもとづく深い洞察が冴える。同時通訳パイオニアー西山千、相馬雪香、村松増美、國弘正雄、小松達也、各氏へのロング・インタビューを収録。外交の内幕や、通訳の仕事をめぐる驚くべきエピソードに満ちた、手応えの大きいオーラル・ヒストリーとなっている。「通訳とは何か」「通訳者の役割とは何か」-現役の通訳者、通訳を志す人、そして、通訳・翻訳の世界を深く知りたい人びとに贈る、本格的通訳研究
本書は多様化した現在の言語学界の状況を踏まえ、言語理論、言語獲得理論から厳選したキーターム解説と名著解題を企図した書である。執筆者は2023年3月を以って宮城学院女子大学英文学科を退職される遊佐典昭教授及び厚誼のある46名。取り上げられている項目はどれも必須のものであり、読者には「簡にして要を得た」キータームや名著解題を読了することによって、現在の言語理論、言語獲得理論の眺望が容易に理解できるはずである。