言語の研究は文字言語に傾きがちであるが、最近では話し言葉の研究が重視され、コンピュータによる応用もめざましい。本巻では音声の産出から認識までのプロセス全体を、生物学的基礎から音声学、音韻論、そしてコンピュータによる応用まで重層的にとらえる。また最適性理論など、音声の理論的研究の最新の成果を紹介。
文彩(修辞学)と議論法(弁論術)の辞典。暗示的看過法、隠喩、疑惑法、誇張法、漸層法、パロディなど約100項目の言葉の表現技術を解説。仏語術語表、英語術語表付き。
インドヨーロッパ(印欧)祖語とは5000〜6000年以前に存在したと考えられる言語で、今日の英・独・仏・伊・西・露・ヒンズー語・ペルシャ語等の祖先に当たる言葉である。アイヌ語と、インドヨーロッパ語(例えば英語はそのゲルマン語派の一つ)は、文法(統語法、形態)が違うので同系ではないが、同じ超語族に属するというGreenbarg,Ruhelen等の説が、有能な言語心理学者Pinkerや、有力な人類遺伝学者L.Cavalli-Sforza等により認められ始めている。本書では最新かつ多量の資料を用いて両言語の語根を比較する事により上記仮説が確かなことを示す。
ことばはいつ、どうして発生したのか?なぜ人間だけがことばをもつのか?脳が先か、ことばが先か?品詞や文法はどのようにしてできたのか?どうして多くの言語に分かれたのか?すべての言語に共通する特性は何か?ピジンとクレオールから何がわかるか?イギリス有数の言語学者がことばの謎ときに招待する。
本論文集は佐治圭三先生の古稀を祝うために企画編集されたものである。これまで北京、大阪、京都などの地で日本と中国、そして世界の梯(かけはし)として、教鞭を執ってこられた、それぞれの場所で指導を蒙った面々、合計30名の執筆陣による論文集である。
外国語教育に欠かせない「テスト」。しかし、どこに注意すれば最良のテストができるのか、テストの結果をよりよい教育につなげていくためにはどうしたらよいのか。本書は、実際にテストを作成・実施していく手順を追いながら、豊富な実践例に裏打ちされた確かなテスト作成法を紹介する。これまでにない新しい視点から包括的にテストを捉えた、今いちばん注目されている「テスト作成ガイド」の邦訳。
日本の近代化は明治維新によってかえって歪められたのではないか。江戸幕府の「富国殖産・厚生」を明治政府は紙屑のように捨て「富国強兵」の道をえらんだ。その歪みは1945年の敗戦、そして現代まで続いているのではないだろうか。日本の近代化を正当に評価するためには、その原点である洋学を抜きに語れない。本文庫は江戸の文化・学芸さらには近代とは何かを模索するための基本資料を提供する。
アメリカ哲学、現代記号論の先駆者として知られながら、難解さの故にこれまで必ずしも十分理解されてこなかったパース。本書はその思想を記号論・言語学の立場から丹念に読み解き、それが人間存在そのものを問う「意味の思想」であったことを究明する。フンボルト、サピア、ウォーフら言語思想の巨星を認知言語学とともにパース記号論の中に再定位するとともに、ソシュールとの比較を通してパースの思想的射程の長さを浮彫りにする。パースの記号論が、感性/理性、自然/人間、物質/生命、意識/無意識、自己/他者、生/死など対立しあうかに見えるものを連続的・統一的に了解する優れた方法であり、宗教と科学、東洋と西洋、人間の心の働きと精神病理等についての理解を深める数々の洞察を秘めたものであることを明らかにする。
ことばの知のなかで、“言語態”の知を認識論的に位置づけ、新しい“ことばの研究”の在り方としての“言語態の研究”の可能性を問い、その方法と展望を開く。
DNA連鎖が、コンピュータを通して、真理を語り始めるであろう。脳死と臓器摘出の倫理・道徳問題、環境・教育問題、政治・経済システムの問題、人間の生と死や、善悪の問題など、細分化科学の結論からは、誰も言及できず、かくして、将来展望も示せなかった、本質的重要問題について。
もうひとつの書物の文化史へ。「声」から「文字」への転換、「作者」「読者」の誕生、電子テクストの出現-東西テクストのパフォーマティヴな機能を分析する。