一見つかみどころのない言葉の意味は、どのようにとらえたらよいのか。語・文の意味から意味の形式的な取り扱いへ、そしてさらに、会話における意味やメタファーなど、語用論や認知意味論のアプローチまで。このところ進展めざましい意味研究の成果を、豊富な例をもとにわかりやすく解説した画期的な入門書。
「言語」、「文法」、「規則」についての言語学者の説明は正しいのか。ウイットゲンシュタインの考え方をもとに、イギリスのベイカーとハッカーが、言語学習における規則(文法)の役割を哲学者の立場から探究した。
社会言語学研究のウラがわかる!フィールド調査の方法と言語変異理論概説の決定版。
本書で提起されているのは、なぜ、どのようにして、ことばは複数の意味を持つようになるのか、という疑問、「意味はどのように変化するのか」(=意味変化)、「なぜ語には複数の意味があるのか」(=多義性)、そして、「なぜ(会話場面で)意味は曖昧な解釈を受けるのか」(=語用論的曖昧性)といった問題である。著者は、こうした問題に「領域」という概念を用いてアプローチする。提起された問題は哲学的であるが、挙げられている例文はわかりやすく、ユーモアに富んでいる。言語研究の面白さは、なにげなく見過ごしていたデータを新しい観点や斬新なアイデアによって説明することにあるのだということを教えてくれる本。
たんなる差別的な“表現”が、なぜ人を傷つけるのだろうか?差別と排除の空間における言語の政治性を明らかにする。
本書は、去る2000年4月1日、2日の両日サンフランシスコ州立大学で開催した第二回「日本語実用言語学国際学会」での研究発表論文を中心に編纂したものである。
近年とくに関心の高い「認知言語学」について、基礎となる関連領域も含めた重要用語を取り上げ、具体例とともに詳解する。それぞれの用語を理解するだけでなく、各見出し語に挙げられているクロス・レファレンス項目をまとめて読むことによって、多分野に広がりのある認知言語学の全体像を展望し、また、その中心となる考え方を得ることができる。認知言語学を知るための事典。
「相対評価」から「絶対評価」への教育評価の今日の変動に適切に対処するため、関係者がまず持っていなければならない評価についての「基盤」を築く書。古典的テスト理論の問題点を克服した項目応答理論、その両論を理解し、体験することができるのみでなく、本書を通して項目応答理論の課題をも乗り越え、「絶対評価」の真意をつかむことができる。
ロマンス言語学・一般言語学教授コセリウ博士の理論はその主著『共時態、通時態、歴史』(1958)において、言語は共時的に機能し、通時的に構成される、という共時・通時二律背反の克服においてあらわれ、またラングとパロールの間にノルマ(規範)の中間項を設定し、パロールの第一抽象化段階をノルマ、第二抽象化段階をラングとするなど、ソシュールの古典的構造言語学に修正を迫るものとして、ここ40年あまりの間に学界に衝撃を与えてきた。
本書はコーパス言語学のみならず言語についての本であり、コーパスの実証的な調査研究が、以前には手に負えなかった言語学の研究課題に対して、いかに新しい解決の光を投じることができるかを示している。
本書は、「なぜことばは変化するのか」という言語学の基本的な課題に取り組んだものである。社会の変化に敏感な言語変化、その言語変化自身の流れは一様であるとすることの是非を問い、英語の規範が日本語についても適用可能か否かという問いにも迫っている。