精神分析としての民俗学。無意識、過去の生活の影の如きもの。「心はいかに伝承されるのか」、「その世代間の伝達の仕組みとは」…。柳田國男、折口信夫、フロイト、レヴィ=ストロース、ラカンを経て析出した「言語伝承の図式」を手がかりに、日本文化に通底する特性が、本書において、鮮やかに構造分析されている。
1990年代初頭、大人の日本語自然会話に適した文字化のルールが求められていた時期に、編者の宇佐美まゆみ氏が「人間の相互作用としてのコミュニケーション」の分析に適するように考案、提案した会話の記述方法が、『BTSJ』(基本的な文字化の原則(Basic Transcription System for Japanese:BTSJ))である。この『BTSJ』を用いて文字化した国立国語研究所の『BTSJ日本語自然会話コーパス(トランスクリプト・音声)2018年版』とその前身の一連のコーパスは、「語用論的分析」及び「人間の相互作用の分析」の深化と発展を促すことを企図して構築された世界最大規模の「自然会話コーパス」である。本書では、語用論の中心的テーマである「共同発話文」「言い換え」「ターン交替」「ディスコース・マーカー」「スピーチレベル」「ポライトネス」などの分析が、『BTSJ』という文字化・分析の記述方法を得ることによって、より科学的な語用論的分析へと進化し、深化を遂げている。語用論研究の新境地を開くとともに、日本語教育への応用にも直結させた、まさに待望の一冊である。
言葉は感情・行動・思考に大きな影響を与えていて、言葉がなければ感じることも考えることもむずかしい。にもかかわらず、言葉はまるで空気のように生活に浸透して、言葉を定義するのはもっとむずかしい。行動分析学、機能的文脈主義、関係フレーム理論、そしてACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)が、この難問に答えを与えてくれるだろう。ありふれた日々の出来事、カウンセリング場面、そして社会で働くことを素材に、言葉についてしっかり学んでいこう。公認心理師発展科目「学習・言語心理学」にも使える、「言語」と「行動」をまなぶ心理学入門講義!
シェイクスピアの作品や『聖書』『源氏物語』など、書き手が疑わしい文章は、洋の東西を問わず数多く存在する。本書はこのような疑惑の文章に対して、「書き手を特定できるような、文章の特徴(クセ)」=“文章の指紋”をみつけるために行われてきた様々な方法を紹介し、また著者が携わった日本語を対象とする事例を解説する。
一家に、一社に、これさえあれば安心!充実!あわてない!見出しを見るだけで基本のフレーズも便利な言い回しもすぐに見つかる!あらゆる場面ですぐに役立つ!
ノン・ネイティブの先生が発音を教えてよいのか?英語らしいリズムはどう練習すればよいのか?優先して教えるべき音はあるのか?英語教師に必要な音声指導力をQ&Aで身につける!
40年の翻訳研究、魂の集大成。ディケンズから村上春樹まで、AIにはけっして真似できない、深い深い思索の冒険。
人前で話すことにまったく苦痛を感じない人がいる一方で、人前で話すことを考えただけで恐怖心がつのり、何日も前から眠れなくなるという人もいます。その違いはなぜ生じるのか?また、どのような話し方をすれば自信につながるのか?本書では、その答えや方法を具体的に紹介していきます。
コミュニケーションにおける人間とは、どのようなものなのか?キャラクタから見る人間とことばのあり方。
読んだらすぐに試したくなる、大人が楽しいことばの遊びー戦時中の替え歌から、落語、和歌、歌詞や訳詞。しりとり、回文、アナグラム。七五調や韻の妙。マザーグースにクマのプーさん…。和田誠さんが長年にわたってこつこつ集めた“ことばのトリビア”を紹介します。ほのぼのする挿絵入り。
日常会話は遠回しな表現でみちているにもかかわらず、聞き手は話し手の意図を直ちに理解する。なぜ言葉になっていない意図を推測できるのか?なぜ推測はほどほどでおさまるのか?なぜ遠回しな表現をするのか?3つの不思議を念頭に、哲学・言語学・心理学の代表的理論から、現代の脳科学に基づく成果まで紹介する。
1文だけではちょっとヘンな日本語でも、ひらがな46文字を使いきり、5行続けて読むと光景が浮かんでくるからあら不思議。そして、絵をつけると1つの作品に。偶然の産物だからこそ、思いがけない語句がひらめいた時のうれしさはひとしお。46字、5行でつくる、現代いろはうた。
ことばとことばが出合うとき。異なる言語の出合いをとおして人間の言語とは何かを考える。著者が生涯にわたって追い続けた最大のテーマ、初の単行本化。
出来事、食べ物、歌など、春夏秋冬+新年のいろいろなことをテーマにしたクロスワードを、計43問収録した本です。カギの文章や思い浮かぶ言葉からにじみ出る季節感を、たっぷり味わってください。春夏秋冬のまちがい探しも、1問ずつお楽しみいただけます。
社会やモノやメディアが現代人に発信してくる記号の嵐。それに飲み込まれず日常を生き抜くためには、どのような力が必要なのか。本書は、現代思想の基礎となるソシュールやパースの記号論から始まり、テレビCMや雑誌広告・アートと建築・身体と権力・ニュース報道・スポーツイヴェント・サイバースペースにおけるコミュニケーションの各論へと、11のレッスン形式で構成される。それらを通して、読者はセミオ・リテラシー、つまり「意味批判力」を獲得することができるはずだ。東京大学での講義をもとに書かれた、新しい記号論の教科書。
言葉はなぜ、生まれたのか?ピダハン語の研究で世界を震撼させた、異端の言語学者ダニエル・エヴェレットが、言語学、人類学、考古学、脳科学の知見をもとに言語の起源をめぐる謎に挑む。