著者は、大阪の国立民族学博物館に勤務するフィールド言語学者。パキスタンとインドの山奥で話者人口の少ない言語を調査しているが、2002年は世界規模の新型コロナウイルス感染症蔓延でフィールドに出られなくなり、長らく「巣ごもり」することとなった。本書は、著者がそのような生活のなかで、日常に溢れる様々な事柄を言語学者目線で眺めて考えたことを綴った言語学エッセイ。世界の多種多様な言語の例を用いながら、言語の世界の豊かさを描き出す。
知れば知るほどおもしろい、言葉のレシピ集!一生を日本語だけで終える日本人。ところが中華料理、タイ料理、フランス料理とあるように、美味しそうな言葉の世界はまだまだあるものだ。そんな世界へと案内してくれるのが本書である。ひとたび言葉の山麓に踏み込めば、言葉の山をめぐる旅は果てしなくおもしろい。本書がガイドするアジアの言葉の山並みを興味津々歩いてみれば、そこかしこに絶景が広がっている。
前世紀ヨーロッパに生まれた印欧比較言語学は多くの秀れた研究者、豊富な資料にめぐまれて驚くべき発展をとげた。本書はその輝かしい成果にもとづき言語研究における比較方法の基本とその問題点を例証豊かに説いたもので、そのままに類書のない懇切な印欧比較言語学の入門書となっている。
言語のない人間文化はあり得ない。文化から切り離した言語も考えられない。言語学の第一人者による留学記、講演、追悼文、対談等を収めたエッセイ集。
漢字は言葉ではない、記号である。漢字にオトは必要ない。どの言語でも漢字を「訓読み」できる。では周辺地域を含めた「漢字文化圏」とは自明のものなのか。歴史上の突厥・契丹・西夏・女真・モンゴル文字など漢字からの自立運動は何を意味するのか。漢字を残す日本語は独自の言語であることの危機に瀕しているのか。言語学者が読む文字と言語の関係。
対人関係を良好に保つためにはひとはことばをどう使うのだろうか。また、文化によって違いがあるのだろうか。たとえば、日本人の謝罪の仕方や不賛成の意見の表わし方は、欧米人とどのように違うのだろうか。こうした異文化間におけることばの使い方の問題を理論と具体的な調査研究の両面から取り上げる。また、調査研究のためのデータ収集の手法も紹介する。
昭和37年に山口大学文理学部に着任後、英語学の研究会(後の「山口大学英語学研究会」)を始めた山本和之教授の退官を記念した、研究会メンバー一同による論文集。
東京言語心理学会議、第11回大会の研究発表講演集。