本書はシステミック機能言語学(SFL)から英語における節の機能的統語分析に迫る。言語の複合的機能の原理に基づきながら、著者が提唱するカーディフ・グラマーを初学者に向けて丁寧に説きおこす点において本書は優れた入門書である。同時に、シドニー・グラマーと呼ばれるハリデー文法を批判的に考察し、2つのグラマーを比較しながら本書の副題にあるSFGの拡充と簡素化の本義を詳細に論じている点において専門書でもある。
赤ちゃんはなぜことばを正しく理解できるようになるのか?この謎を解く鍵として1980年代に登場したのが「制約」理論だ。人間にはことばに関して正しいかどうかを判断する基準が生得的に備わっている、というのだ。しかし研究が進むにつれ、言語間でのカテゴリー化の違いなど、この理論だけでは説明のつかないことが出てきた。そこで著者が導いたのが「制約」は人間の発達の過程で外的状況や言語にあわせて柔軟にコントロールされる、という仮説だ。本書ではそのメカニズムが巧みな実験により明らかにされていく。認知科学の分野をリードしてきた著者の原点となるデビュー作。
誰もが近道や楽な方法を探そうとするが、結局は地道な努力しかないと思い知らされる外国語学習。だが、それでもコツは存在する。本書は、そのヒントとなる言語学の基礎知識を紹介。「語学には才能が必要」「現地に留学しなければ上達しない」「検定試験の点数が大事」「日本人は巻き舌が下手」といった間違った「語学の常識」に振りまわされず、楽しく勉強を続けるには。外国語学習法としての言語学入門。
本書は人間のことばの習得と脳などとの関わりについて取り扱う「言語心理学」という研究分野について、コンパクトに概説したものである。全6章から構成されており、前半の3章では、主に母語習得について概観し、後半の3章では主に第二言語習得について概観をしている。様々な言語学の分野の観点や視点から、言語習得という人間の基本的本能と言われる内容に関して解説を簡潔に行っており、よりダイナミックな内容となっている。
韻でつながる日本語ラップと言語学。
外国語を知りたい、日本語を深めたいーことばに興味のあるすべての人に贈る、「にぎやかな言語学」への招待。
AIが発達しつつある今、改めて「言葉とは何か」を問い直す。AIと普通に話せる日はくるのか。人工知能と向き合う前に心がけるべきことは何か。そもそも私たちは「言葉の意味とは何か」を理解しているのかー「理論言語学」出身にして気鋭の作家が、言葉の「不思議」と「未解決の謎」に迫る。
初対面の相手から、即座に信頼を得る話術、「コールド・リーディング」。その技術を体系的にまとめた「原典」の改訂第二版。コールド・リーディングの第一人者として知られ、マジシャンやメンタリストの講師役も務める著者が、占い師や自称サイキックが使用してきたことでも知られる禁断のコミュニケーション・テクニックを詳細に解説!
可能世界意味論の登場とクリプキの「新しい指示論」によって、言語哲学は70年代に根本的な変化を迎える。様相論理をめぐる哲学的議論を追跡し、可能世界の概念が現代の哲学をどう変えたのかを描き出す。大河入門書の増補改訂版、第3巻が登場!
言語は、私たちの日常の生から、離れてはいけない。詩人ランボーと作家志賀直哉、そしてレヴィ=ストロースの言語感覚を中心に、生きた言語を日常にとりもどすために、私たちに何ができるのか、を呼びかける。言語の野生を考察した一冊!!
本書は、三上章(1960)『象は鼻が長い』を出発点として、言語学の問題「主語・目的語って何だ?」に取り組みます。調査の結果、日本語の主語も目的語も、「カメレオン」でした。カメレオンが周囲の色に応じて体の色を変えるように、主語も目的語もさまざまな助詞をかぶって変装しています。さらに、小・中・高の国語・英語の教科書も調査し、「主語・目的語の教科間の揺らぎ」や形容詞・副詞の謎も明らかにしていきます。
漢字とローマ字を中心に様々な表記法で書かれる台湾語を事例として、文字使用の多様性と規範化の有り様を用例の分析と書き手へのインタビュー調査に基づいて記述し、少数言語の文字化という問題に、社会言語学的視点から迫る。