心理学において言語を研究対象にすることと言語を研究道具として用いるあいだには大きな溝がある。前者は、言語・認知心理学を中心に研究が行われているが、後者は余り検討されていないのが実情である。本書は、この言語や会話をデータとして利用する方法について、各分野での利用状況をふまえ、その全体をまとめ上げた初の成書である。内観報告法、プロトコル分析について詳しく解説した後、臨床研究を視野に入れた会話データの分析、手法としてのインタビュー等、関連分野の学生を念頭に丁寧に説明する。テキストとしてばかりでなく、研究者にとっても有用かつ示唆に富む興味深い書である。
ことばと文化、自然と人間の営みに深い思索を重ねてきた著者が、世界の危機を見据えて語る“日本人の使命”とは。外国人が日本語を学ぶとなぜか礼儀正しくなる「タタミゼ効果」の不思議や、漢字に秘められた意外な力、持続可能社会だった江戸時代の豊かさ、そして日本人の世界観を西欧文明と対比させながら、小さくとも強靭な日本の感性を文明論として考える。
「ら抜き言葉」はダメなのか?時代と共に変わりゆく日本語の不思議を、「喋りやすさ」と「恥の文化」の概念をキーワードに解明。
多言語・多文化主義を唱えるまえに必要な検証作業、近代「日本語」の地下水脈を探る。「異なれるもの」の排除・包摂の力学。
日本語から見た日本人は、個としての自己意識が強く、だからこそ逆に、対人関係に敏感となる。日本人にとって、対人関係は建前として重視しなければならないが、その陰には、本音としての強い自己意識がある。言語学の方法を用いて、この逆説的二面性に日本人の表現構造の本質があることを示すとともに、英語などに比べ、日本語の強い自己志向的側面を浮き彫りにする。
南太平洋の島々には消滅の危機に瀕した多くの言語が存在する。その一つツツバ島の固有語の体系を、厳しくもロマンに満ちたフィールドワークの末に記述した大作。
風の唸り、川の水音、森のざわめき、詩語による交信。物質言語の響きを聴きとり、これを人間の初発のことばとして返すこと。谺の修辞法を学ぶこと。分析的言語では掬いとれずにきた世界の肌触りを私たちが奪還する方法とは?メキシコの火山高原からカリブ海の灼熱の汀へ、アフロ・ブラジルの黄昏から奄美群島の唄の魂まで、ことばと感覚の薄墨色の領域を求めてはるかな道行きを重ねてきた人類学者の、画期的な試論にして、時空を超えた「認識の自叙伝」。
「連字符ー社会学」(マンハイム)と「理念型」、そして「言語ゲーム」「家族的類似」(ヴィトゲンシュタイン)など社会学/哲学の提供してきた視座から、“あそび”と“しごと”の多義性・連続性をあきらかにすることで、労働/遊戯/余暇の本質を立体的=可視的にうきぼりにする。
生徒は英語の授業で何を学んでいるのか。生徒は教室で、英語を使って、何をしているのか。教育言語人類学の視点から、「教室で英語を学ぶ」というコミュニケーションのリアルな姿に迫る。「コミュニケーション論」が切り拓く「英語教育」。
人の心を動かすコツは、「選択の自由」と「ことばの切り替え」だ!気鋭の言語学者が、デキる人の「ことば術」を解説。
理論言語学と英文法学習、英語教授法の橋渡しを試みた一冊。英米語の文法的な違いに始まり、欧米の英文法書と日本の学校英語文法との違い、5文型に関する議論や意味順の紹介、時制、相(語彙的相、視点相)、法の他、名詞句の解釈、代名詞類、比較、否定繰り上げ、否定極性項目などを解説する。英語のからくりについてもう一歩理解を深めたい、理論言語学を勉強してみたい人への招待状。
本書は、美しい朗読のための理論、技術、実践方法を、余すところなく伝えている。学校、図書館、カルチャーセンター…全朗読人のバイブルです!!