言語を操る動物-ヒトの持つ最大の特徴はどこからきたのか?原始的なサルの発する警戒音やコミュニケーションを分析することで、ことばの進化の謎を探る。
日本語と英語の対比と否定に関する意味のメカニズムを、認知言語学と語用論の視点から論じる。認知基盤、身体性、環境との相互作用等を手がかりに、対比と否定性を認知図式で統合し、発話行為やレトリックまで扱う。否定極性項目、メタ言語否定、反義語と否定性、量から質への意味変化、対比と強意語の関係、完全性の動機、広告表現と対比のレトリック、オクシモロンの基盤にある対比と反対物の一致の視点等を論じる。
失語症患者における言語データの乱れ方は、じつに、「きれい」である。正しく、整然と、乱れている。脱落や誤りがあっても、きちんとその部分の復元ができるように自衛措置が施されており、脳の中に育った言語知識がそうやすやすと壊れないことを教えてくれる。また、障害を起こした脳といえども、そのはたらきがしなやかであることも教えてくれる。本書では、めざすべき目標を「失語症の言語分析」に絞り、そこに到達するのに必要な言語学の知識と知見を体系的に叙述した。
近代日本に存在した「反普遍文法」の系譜。その煽りを受け不当に無視された松下大三郎の文法論。国語の本性を追求した山田孝雄。その個別言語主義と18世紀普遍文法論との意外な類似性。主観を排した近代文法の嚆矢、大槻文彦の日本文典。その大槻文法に垣間見える矛盾した言語観と西洋言語学の関係!斬新な視点から国語学史と言語学史を縦横に論じ、読者を言語研究の世界へ誘う。
乳幼児期の思考と言語発達の過程を研究成果とその要約、用語の説明、演習問題、参考文献を提示しながら認知言語学、発達心理学のエキスパートが徹底的に解説。早期英語教育の専門知識を明確に伝える一冊。
アガサ・クリスティーの傑作にして問題作『アクロイド殺し』。語り手=犯人とされる大胆な設定は探偵小説への挑戦であり、これまで多くの解釈がなされてきた。その奇妙な物語世界は、語り手の冤罪の可能性を示す「余白の声」や不確定性を、そして因果連関と「運命の相似形」をめぐる、果てなき問いの深淵を覗かせる。作品の精読と、それが書かれた時代的・社会的背景の探索から「言語」それ自体の謎に肉薄する。
忙しくて子どもと向き合う時間がない、お金がなくて子どもを習い事に通わせられないーもう、そんな悩みを抱える必要はありません。科学的な視点を取り入れた、子どもへの言葉かけの新たな技術「リッチトーク(豊かな会話)」を実践しましょう。ほんの少し「日常の会話」に目を向けるだけで、思いやりと創造性と好奇心にあふれた、自分の幸せを自分でコントロールできる子どもに育ち、親子の絆が深まっていきます。子育てとは、日々の「会話の積み重ね」なのです。
ビジネス会議ではなぜ雑談が大事?会話での相槌にはどんな意味が?日常の会話やビジネス会議、オンラインの話し合いやリスクコミュニケーションを、社会言語学の視点から分析してみると、コミュニケーションを成り立たせる条件がみえてくる。誰も排除しない社会に向けた「人に優しい話し方・聞き方」のヒントがここに。
近代日本の心のふるさと江戸。江戸直系の一つのシンボル東京下町浅草。江戸から東京下町へ、一体何が継がれ、何が消えて行ったのか。浅草の北の一角で、下町の土とともに肌で感じ肌で知った知識・体験を基に、本格「べらんめぇ」学をここに語る。江戸言葉に下町言葉を重ね、言葉と気質と、暮らしと、その、江戸から今へ生きて移った「べらんめぇ」の正体に迫る。