2016年のトランプ大統領の当選に刺激され、本書の執筆を決意した著者は、自らも不法移民である立場を利用して、不法移民コミュニティへの旅を決行する。スタテンアイランドで不当に搾取される日雇い労働者、グラウンド・ゼロの清掃作業でさまざまな疾患に罹患し健康被害に苦しむ労働者、医療の恩恵を被れず、代替医療やブードゥーといった民間宗教に走らざるをえないマイアミの不法移民、フリントの水汚染公害で鉛中毒の子を産み苦しむ母親、父親が国外退去となり、打ちのめされるクリーヴランドの家族、移民の親を持つことに悩み苦しむニューヘイヴンの子どもたち、そしてカーラ自身の物語をこれらの記録に織り交ぜながら、彼女を数年間エクアドルに置き去りにせざるをえなかった両親の決断や彼らへの愛憎などを振り返る。ただ克明に不法移民を取り巻く状況やそのメンタリティを描き、個人的で深い共感を呼ぶ彼女の明晰な筆致は、人種主義的・反移民的な思想を抱く人びとへの静かで強力な反論となっている。全米図書賞Finalist。
麻酔手術の成功と防腐法の発見が、人類を無残な死から救った。約150年前、近代外科医学の礎を築いた医師たちの記録。
薩摩、長州を中心とする反幕府勢力が、武力で倒幕を果たしたという「常識」は本当か。第二次長州戦争は、なぜ幕府の敗北に終わったのか。王政復古というクーデタ方式が採られた理由とは。強烈な攘夷意思をもつ孝明天皇、京都の朝廷を支配した一橋慶喜、会津藩の松平容保、桑名藩の松平定敬。敗者の側から、江戸幕府体制がいかに、そしてなぜ崩壊したかを描き出す。
9.11テロ、東京と上海、万博、丹下健三の死と日本の国家像、P.ジョンソンの死とモダニズム、デリダの思想、アンビルト、フィレンツェ・ウフィッツィ美術館、パサージュ論、海市…建築家が考え続けるということ。考えることの現在進行形。
緊急出版!慰安婦報道の「戦犯」と呼ばれた植村隆、市川速水、若宮啓文、本多勝一ら朝日関係者に徹底取材。報道の現場から問題の全真相をルポルタージュし、バッシングの背後にうごめく歴史修正主義をえぐり出す。闘うジャーナリストが、右派の跳梁に抗する画期的な一冊!