お見合い騒動に沸く寅さんが、若者たちの恋のキューピットに!?
松竹喜劇作品に手腕をふるった才匠、森崎東によるシリーズ第3作。
ご存知『男はつらいよ』シリーズ第3作。今回は前2作の山田洋次から『時代屋の女房』、
『美味しんぼ』などの森崎東に監督をバトンタッチしており、
毎度おなじみのお話でも風景の切り取り方などを含めて大いにタッチが異なり、
寅さん(渥美清)以外のキャラもどこか荒々しく、新鮮な味わいで見守ることが出来る。
ストーリーは寅さんにお見合い話が持ち上がっての葛飾柴又騒動と、
後半は湯の山温泉の宿で若者たち(香山美子&河原崎健三)の恋のキューピットを演じつつ、
女将のお志津(新珠三千代)に恋焦がれていくさまが人情味豊かに描かれていく。
また今回は寅さんがいかにしてふられるかがじっくり描かれている辺りも新味であり、
さらにはふられてもどこか未練たらしい寅さんの姿が哀れを誘う。
番頭役の名脇役・左卜全の存在感も圧倒的なのであった。
競馬で大儲けした寅さん、おいちゃんとおばちゃんを連れてハワイ旅行!?
労働者諸君まで巻き込んで、寅さんの新たな恋のお相手は幼稚園の先生だ!
『男はつらいよ』シリーズ第4作は、
名古屋競馬場で大穴のワゴンタイガー(=車の寅)になけなしの金をつぎ込んで見事大儲けした寅さん(渥美清)が、
葛飾柴又までタクシーでご帰還。当時の運賃は2万9,000円なり。
そしてまだハワイが夢の時代、寅さんはおいちゃん(森川信)とおばちゃん(三崎千恵子)を連れてハワイ旅行と決め込むが……。
今回の監督は、本シリーズの前身たるTVドラマの演出を担当していた小林俊一で、従来よりも柴又の人々の個性を表に出しながら、
町を挙げての騒動をドタバタチックに描いているのが大きな特徴。
後半は“とらや"に下宿する春子(栗原小巻)へ、例によって寅さんの恋幕情が繰り広げられるが、
お隣の“労働者諸君"まで巻き込んでの滑稽なデート演出なども楽しい。
また彼女の境遇がどこか寅さんと似ているという設定も心憎い。
労働の尊さに気づいた寅さん、お豆腐屋さんに就職!?山田洋次監督の演出に戻ってのシリーズ第5作。
TVシリーズのレギュラー陣が勢揃い!監督が1&2作目の山田洋次に戻ってのシリーズ第5作。
以後、山田監督は全てのシリーズ演出を担うことになる。/恩人の危篤を知った寅さん(渥美清)は、
弟分の登(津坂匡章)を連れて北海道へ。そこで労働の尊さに気づいた彼は、
千葉県浦安のお豆腐屋さんに居候して油まみれになって働くのだが、例によってそこのお嬢さん・節子(長山藍子)にほのかな恋を……。
今回のマドンナ、長山藍子はかつてTVシリーズでさくらを演じており、
彼女と映画版さくら(倍賞千恵子)が対峙するシーンなど、寅さんファンにとっては別の意味でも感慨深い。
それもあってか、今回は寅さんとさくらの兄妹愛が濃厚に描かれており、改めて本シリーズの根幹を知らしめる作品となっている。
井川比佐志、杉山とく子もTVシリーズのレギュラー陣。
前半で登場するD-51など、今はなき蒸気機関車の勇姿を拝めるのも貴重だ。
シリーズ第7作は、歴代マドンナへの寅さん失恋話に花が咲く。
『学校2』の原点ともいえるシリーズ初期を代表する秀作!
シリーズ第7作の『男はつらいよ』は今までと一味違う。
第2作で巡り会えた寅さん(渥美清)の実母・菊(ミヤコ蝶々)が京都から30数年ぶりに上京するも、
早速帝国ホテルにて関西弁と東京弁の親子喧嘩。
また、第1作のマドンナでもあった御前様(笠智衆)の娘・冬子(光本幸子)が再登場したり、
歴代マドンナによる寅さん失恋話を“とらや"の人々が口にするなど、前半部はちょっとしたシリーズ総括が図られているのだ。
一方、今回のマドンナ花子(榊原るみ)は軽度の知的障害者という設定で、
後の山田洋次監督の代表作の1本『学校2』にも通じる原点的内容にもなり得ている。
寅さんを慕って“とらや"に赴き、ついには彼のお嫁さんになろうかとまで言う彼女。
初めてマドンナに愛される寅さんの恋路を遮るものとは…!?
ラストの切ない笑いも含め、シリーズ初期を代表する秀作である。
幾多の涙を乗り越えて、迷惑以上の歓びを与えながら、今日も寅さんは旅に出る。
日本人の人情、その侘・寂を体感させるシリーズ第8作。
旅一座との交流を経て葛飾柴又に帰ってくるや、
早速周りに迷惑かけ通しの寅さん(渥美清)の耳に、妹さくら(倍賞千恵子)の歌声が悲しく響く…。
『男はつらいよ』シリーズ第8作は開巻早々どこか侘しさを帯びており、呼応するかのように今回は博(前田吟)の母が逝く。
帝釈天の横で喫茶店を開業した今回のマドンナ貴子(池内淳子)も、夫に先立たれた子連れ未亡人。
また、TVシリーズからおいちゃんを好演してきた森川信は、惜しくも本作が遺作となった。
「バカだねえ!」など、この名優ならではの切れのいい名台詞の数々が、これを最後に聞けなくなるのも寂しい限り。
しかし、寅さんは独りになった博の父(志村喬)の、そしてマドンナとその子供の寂しい心を癒す。
今や美女が現れるだけでおっかなびっくりの柴又庶民だが、寅さんは迷惑以上の歓びも実は与えている。
だからこそ、いつもとは異なる恋の結末も、観る者に深い余韻を残してくれるのだ。
北陸で出会ったマドンナは、“寅さんの憧れの人"ファン投票第1位=吉永小百合。
切ない恋をしっとり描いたシリーズ第9作!
『男はつらいよ』シリーズ第9作は、“寅さんの憧れの人"ファン投票で1位に輝いた吉永小百合をマドンナに迎えてお届けする。
葛飾柴又の自分の部屋が貸間に出されてふくれまくりの寅さんは、さんざんみんなを嘆かせた末に“とらや"を飛び出し、北陸金沢へ。
そこで彼は旅行中の清純なOL歌子(吉永小百合)と出会う…。
今回は第2作以来久々に冒頭で寅さんの見る夢が描かれるが、この趣向は以後のシリーズのお楽しみコーナーとして定着していく。
また今回から松村達雄2代目おいちゃん役で登場。寅さんの弟分・登(津坂匡章)も第5作以来久々のお目見えとなった。
なお、今まで不定期で公開されていた本シリーズだが、今回より年に2回、お盆と正月に興行作品としてお披露目されることになった。
そして寅さんと歌子の物語は、第13作でも繰り広げられていくのである…。
嗚呼、ついに寅さんがプロポーズされる!?
これまでの寅次郎の失恋パターンを覆す画期的かつスリリングなシリーズ第10作!
離婚して美容院を閉店したばかりの寅さんの幼馴染・千代(八千草薫)に“とらや"の二階を間借り中の東大助教授・岡倉(米倉斉加年)が一目惚れ。
それを知った寅さんは“さしずめインテリ"な彼をからかいつつも、二人の仲を取り持とうとするのだが、彼女の本命は何と・・・・・・?
ここれは岡倉が従来の寅さん的役割を果たしており、フーテンもインテリも恋の駆け引きに関しては大差なし、
というよりももはや『男はつらいよ』インテリ版といったお可笑しみが楽しいが、
それ以上にこれまでの寅さんの失恋パターンを覆した画期的な展開が実にスリリングでもあるのだ。
また今回は日本映画史に残る大女優・田中絹代が信濃旧家の奥様役で特別出演しており、作品の風格をより一層高めてくれている。
寅さんにとって運命のヒロイン、リリーが初登場!女版“フーテンの寅"と寅さんの心の交流、その先に待ち受けているものとは?
父親の2回忌の法事をメチャクチャにするなど、
今回も“とらや"の人々に迷惑をかけっぱなしのまま旅に出た寅さんは、
北海道・網走に向かう夜行列車の中で、外の闇を見つめながら涙を流す旅回りのキャバレー歌手、リリーに出会った。
中学のときに家を飛び出したという、いわば女版“フーテンの寅"たる彼女と寅さんは、
お互いシンパシーを抱きつつ、日本のどこかで再会を約束するが……。
歴代マドンナの思い出話で“とらや"の人々が盛り上がる中、一人の男に惚れて惚れて惚れぬきたいというリリーを、
果たして寅さんは受け止めることが出来るのか?
また今回は寅さんが牧場で働くようになるが、意外と虚弱体質であったこともわかる!?
何と今回、“とらや"の人々が旅に出て寅さんがお留守番!?
観る者の予想を裏切り続ける展開の妙、粋なシリーズ第12作。
おいちゃんが帝釈天のおみくじで凶を引くと同時に、寅さん(渥美清)が葛飾柴又にご帰郷。
案の定、おいちゃん夫婦(松村達雄&三崎千恵子)とさくらの家族(倍賞千恵子&前田吟&中村はやと)は明日九州旅行へ繰り出す予定であった・・・・・・。
今回は“とらや"の人々が旅をして寅さんがお留守番という、いつもと逆転した構図で始まり、
当時まだ料金が高い長距離電話を用いておいちゃんと口喧嘩するなど、寅さんの寂しさ転じてのワガママと人情が炸裂する。
後半は例によってマドンナ登場。旧友(前田武彦)の妹で、
寅さんのことをクマかカバと呼ぶ貧乏画家のりつ子(岸恵子)のさばさばした性格に、
いつしか彼はパトロンと化していく!?その後も微妙に観る者の予想を裏切り続ける展開の妙が粋なシリーズ第12作。
私もあなたもみんながほおっておけない寅さんの恋の行方や、いかに?
山陰の城下町を旅する寅さん、かつて恋い焦がれた歌子さんと再会!何と、彼女は幸せ薄い未亡人だった・・・・・・!?
えっ寅さん(渥美清)が結婚!?というびっくり仰天のシーンから始まる『男はつらいよ』シリーズ第13作は、
第9作『柴又慕情』のマドンナ歌子役の吉永小百合が再び登場する。今回は早々と失恋し、
傷心の想いで旅を続ける寅さんが、2年前に恋心を募らせた歌子と津和野の地で再会。
しかし、父親(宮口精二)の反対を押し切って家を飛び出し結婚した彼女だったが、今は夫に死なれて未亡人になっていた・・・・・。
寅さんは、歌子への恋の再燃といったよう要素もさながら、
前回では描ききれなかった娘と父の絆に深く関わることにもなり、そのさまが感動的に描かれている。
名優・宮口精二いぶし銀のごとき名演も印象的。
また本作で二代目おいちゃんこと松村達雄が出番終了となるが、
彼はこの後も役柄を変えてシリーズにしばしば登場する。
気ままな自由を寂しさがないまぜの相合い傘、素直になれない寅さんの恋の行方は?
運命のマドンナ、懐かしのリリーが再び登場するシリーズ第15作!
シリーズ第15作は、第11作のマドンナであり、寅さん(渥美清)にとって運命のヒロインでもあるリリー(浅丘ルリ子)が再び登場。
珍しく寅さんの帰省が遅い葛飾柴又の“とらや"を、あの懐かしいリリーが訪れた。
すし屋の亭主と離婚した彼女は再び旅から旅の歌手として全国を渡り歩いている。
一方、寅さんは家出した中年男“パパ"(船越英二)と奇妙な道中を続けていたが…。
シリーズ屈指の傑作と名高い本作は、寅さんとリリーの再会を中心に、パパの初恋慕情譚など充実した内容。
冒頭の夢からして、寅さんファミリーを総動員させての海賊超大作“パイレーツ・オブ・トラビアン"(?)が繰り広げられるのもお楽しみ。
そして寅さんとリリー、二人の恋の行方は最後の最後まで切なくスリリングで、一瞬たりとも目が離せない!
葛飾柴又は、書物の小脇のメガネっ子寅さんの話題で持ちきり!
ついに寅次郎学問に目覚める!?シリーズ第16作!
シリーズ第16作は、冒頭の西部劇の夢に始まり、
寅さん(渥美清)をまだ見ぬ父と勘違いして山形から上京してきた娘(桜田淳子)のエピソード。
当時人気絶頂だったアイドル桜田淳子のヒット曲『私の青い鳥』を新米巡査(米倉斉加年)が口ずさんでいるのが可笑しい。
今回は、何と寅さんが学問を志す!ついには、
“とらや"の二階を間借りする考古学助手のマドンナ礼子(樫山文枝)に「あなたは何のために勉強するのですか?」と問いかける。
かくして本邦初披露、メガネっ子寅さん!田所先生役で出演の小林桂樹は、
当時日本中で空前のブームを巻き起こした映画『日本沈没』に同じ役名で出ていたという楽屋落ちのネタもあり。
しかし寅さんは時の流行など何するものぞ、最初から最後まで同じ衣装同じスタイル同じ失恋で、わが道を貫き通すのであった!
悲嘆にくれる訳ありな女性をみると、放っておけない寅さんの面目躍如!
2008年世界8大都市で上映される大傑作のシリーズ第17作!
シリーズ第17作は、実に盛り沢山な内容だ。冒頭恒例の夢は何と『JAWS』もどきのホラー・パニック編。
満男(中村はやと)の入学式では、寅さん(渥美清)の名前が出た途端に子供たちが大笑いしたとかで、“とらや"の人々の面子は丸つぶれ。
その寅さん、奇妙なルンペンじいさん(宇野重吉)を“とらや"に連れてきたところ、ぞんざいな振舞いの数々。
果たして彼の正体は?そして後半は、いよいよ始まる寅さんの恋物語。
金銭トラブルに巻き込まれた芸者ぼたん(太地喜和子)のために人肌脱ごうとする寅さんの侠気が何ともかっこいい!?
なお本作はシリーズ40周年、「川喜多かしこ生誕100年記念」として、2008年夏よりニューヨーク、パリ、ロンドンなど世界8大都市を巡回上映。
これぞ世紀を越えて、寅さんの大いなる心の旅を世界へ示す傑作である!
「人間は何故死ぬんでしょうね?」人生の無常に男泣きする寅さん。
少女のように純粋な貴婦人との悲恋を、人情と慈英で綴ったシリーズ第18作!
シリーズ第18作のマドンナは、満男(中村はやと)のクラスの産休教師(壇ふみ)の母親で、深窓の令嬢でもあった綾(京マチ子)。
子供のように無邪気な彼女は女学生時代“とらや"の馴染みで、若き日の寅さんにからかわれていた!?
何ともユニークな設定ながら、実は今回の寅さん(渥美清)の恋路は哀しみに満ちあふれている。
寅さんは真摯な慈愛をマドンナに傾けながら、
その果てに徳富蘆花『不如帰』のセリフ「人間は何故死ぬんでしょうね?」さながら、人生の無常に感じ入る…。
しかし、だからこそ今回は笑いのエピソードも豊富で、冒頭の夢からして『カサブラカ』のパロディ、
またタイトル・クレジットでは寅さんが映画の撮影現場をめちゃくちゃにするなどの映画ネタ、
無銭飲食による警察とのやりとりなど実に楽しい。
笑いと涙のバランスも絶妙な、心に染みる名編である。
一念発起!殿様の夢を叶えられるのは、寅さんだけ!?
渥美清+アラカン、昭和を代表する二大スター夢の顔合わせで贈るシリーズ第19作!
シリーズ第19作のゲストは“鞍馬天狗"などで知られる戦前戦後の時代劇大スター、アラカンこと嵐寛壽郎。
冒頭の夢もそれに倣って“鞍馬天狗"のパロディが繰り広げられるのが楽しいが、ここでアラカンが演じるのは四国・大洲潘18代目当主。
ラムネを飲んで「なかなか甘露じゃのう」などと、
今どき時代劇口調でしゃべるこの厳格奇妙な“殿様"と知り合いになってしまった寅さん(渥美清)は、
やがて広い東京の中で一人の女性を捜す役目を請け負うことに。
それは、寅さんが愛媛で出会った若く美しい未亡人・鞠子(真野響子)であった…。
三木のり平扮する執事も含め、従来よりもファンタジックかつ滑稽な装いは、懐かしき昭和黄金時代の喜劇の味わいそのもの。
そしてマドンナ鞠子に対する寅さんの夢と殿様の夢は、いつしか一致していくのだが、果たしてその結末は…!?
SFに華麗なレビュー、人情コメディ、そしていつもながらの失恋!寅さん版ザッツ・エンタテインメント!
何と、寅さん(渥美清)は第三惑星宇宙人だった!そんな奇想天外なシチュエーションから始まる『男はつらいよ』第21作。
本作が公開された1978年は、『未知との遭遇』などSFブームが世界中に巻き起こった年でもあった。
またその前年、山田洋次監督作品『幸福の黄色いハンカチ』で映画デビューを果たした武田鉄矢が、
寅さんも呆れる失恋男としてゲスト出演。
そして肝心要の寅さんは、さくら(倍賞千恵子)の同級生でSKD(松竹歌劇団)の花形スター、
奈々子(木の実ナナ)の虜となって、浅草国際劇場に通いづめ!
今はなきSKDの華麗なレビューの数々を収めた映画としても実に貴重(なお、倍賞千恵子はSKD出身)。
SFにレビュー、人情コメディ、そしてもちろん失恋劇と、今回の寅さんはまさに“ザッツ・エンタテインメント"だ!
旅からの旅の寅さんに“実は女難の相あり!?"
寅次郎、人生のはかなさをしみじみ知って反省する筈だったシリーズ22作!
旅の雲水(大滝秀治)から「女難の相が出ている」と忠告されて、
表面を取り繕いつつも心穏やかではない我らがフーテンの寅さん(渥美清)は、
今日も全国のおばちゃん相手に「アタシも女房持ち」と口八丁手八丁のテキヤ稼業。
そんな彼も信州で博(前田吟)の父・□一郎(志村喬)と偶然再会し、
彼の説く『今昔物語』を『コンニャク物語』と勘違いしつつも、人生について深く考えさせられる。
しかし“とらや"の店員となった美女・早苗(大原麗子)と出会うや否や、彼はガス溜まりの腹痛を起こし、
要するにまたも恋の煩悩の炎を燃やすのであった…!?
まるでお地蔵様のような顔をした寅さんは、シリーズ第22作にしてついに人生の機微を知る!?
□一郎曰く「大人物は反省して去っていく…」そう、寅さんは毎回反省しては心大きくなっていく…のか?
結婚式から逃げ出して寅さんの胸に飛び込む“飛んでる花嫁"!
義侠心転じてほのかな恋の寅次郎…果たしてその結末は!?
“翔んでる女"といった言葉が流行していた1970年代末、
その代表格でもあった桃井かおりをマドンナに迎えて贈る『男はつらいよ』シリーズ第23作。
ここで彼女が演じるひとみは、マリッジブルーが高じて結婚式から花婿(布施明)を置いて逃げ出してきた花嫁。
しかも、そのエスケープ先が葛飾柴又の寅さん(渥美清)であったがために、
例によって“とらや"の人々は大騒ぎ!今回の彼女は従来のイメージとは少し異なりしっとりした雰囲気で、
そこに山田洋次監督ならではの卓抜さも感じさせられる。
一方、翔びまくった人生を送りながらも、恋愛に関してだけは小学生の甥っ子・満男(中村はやと)にまで心配されてしまう寅さんは、
いつそちらの方面でも翔べるのか?
つには惚れた女の結婚式で仲人を務めるのだから(独身なのに!?)、これぞまさに“男はつらいよ"!
葛飾柴又に黒船来航!?二人のフーテン、マイケルと寅次郎が繰り広げる日米対抗恋愛合戦の行方やいかに?
『男はつらいよ』にもいよいよ黒船来航!?
シリーズ第24作は“アメリカの寅さん"ことマイケル・ジョーダン(役名です。念のため)が登場する!“とらや"にも下宿中のこの独身男、職業はビタミン剤のセールスマンで、こともあろうにさくら(倍賞千恵子)に恋してしまうのだ。
演じるハーブ・エデルマンは『ザ・ヤクザ』などで知られるハリウッドの個性派俳優。
一方、本家本元の寅さん(渥美清)は英語塾教師(林寛子)の母・圭子(香川京子)に、いつものごとく一目惚れ。
この日米対抗恋愛合戦、果たして勝利するのはどちらのフーテンか?
ストーリーと脚本に『タクシー・ドライバー』などのポール・シュレイダーの弟で『太陽を盗んだ男』でも知られる大の日本通レナード・シュレイダーを迎えてお贈りする、『蝶々夫人』をも越える愛の日米親善映画。かくして人情も笑いも失恋も越境する!?
寅さん、永遠のマドンナ・リリーと運命の再会!灼熱の沖縄で繰り広げられる大人のラブ・ストーリー、その行く末は…?
『男はつらいよ』シリーズ第25作は、第11作『寅次郎忘れな草』、第15作『寅次郎相合い傘』に続き、
寅さん(渥美清)にとって永遠のマドンナともいえる歌手リリー(浅丘ルリ子)が三度目の登場とあいなった。
舞台はシリーズ初となる沖縄。
そこでリリーが入院していることを手紙で知らされた寅さんは、苦手な飛行機に乗って彼女の看病に駆けつける。
そして退院後、二人は国頭家の部屋を間借りして一緒に暮らし始めるのだが…。
シリーズ全48作中屈指の傑作であり、シリーズ終了後に本作を再編集した特別篇も製作されているほどの名編。
“とらや"でのユーモラスな騒動はいつもながらだが、
灼熱の沖縄に着いてからは大人の男女の恋と嫉妬が、優しくも切なく繰り広げられていく。
そして寅さんとリリーのドラマは、最終作『寅次郎紅の花』へと受け継がれていく…。