鎌倉幕府を打ち立てた源頼朝が没すると、政治の実権を握ったのは北条一族だった。有力御家人を次々に排除し、揺るぎない権力を築き上げていく。義時の執権就任による地位の確立から、朝廷と兵刃を交えた承久の乱、泰時の御成敗式目制定と評定衆による合議制、時宗によるモンゴルとの交戦を経ながら、なぜ130年にわたって勢力を維持できたのか。敗れた御家人や朝廷の思惑にも注目しながら、執権北条氏の新たな像を提示する。
「“神”は三種類に分類される…まず第一が、大自然。次は祖霊。最後は、時の朝廷に対して戦い、恨みを呑んで亡くなっていった人々」。銭洗弁天、鶴岡八幡宮、御霊神社…鎌倉をそぞろ歩く奈々、沙織の棚旗姉妹に、桑原崇が説く「鎌倉=屍倉」の真実!源三代にまつわる謎の答えが、闇の中に白く浮かび立つ。
近代サーフィンの祖、ハワイの英雄デューク・カハナモクの足跡を求めてホノルルに飛んだ「僕」は、そこで意外なものを発見した。それは、板の上に腹ばいになった男が描かれた日本の古巻物だった…700年前、押し寄せる蒙古の軍船に、波乗りの技術をもって立ち向かった3人の若者を描く表題作ほか、珍味フォアグラにまつわる怪奇、少年漫画の主人公冒険ダン吉の末路、それにオリンピック秘話を、それぞれ奇想天外な物語にしたて上げた、著者初の小説集!
宰相がそこで日本の進路を決断した邸宅、文豪が選んだ終の栖、名優が自ら設計した部屋、学者が静かな思索にふけった空間、経済人が日々の「私」を託した住まい。人それぞれの温もりを伝える家。
天皇親政にあくまでも固執した波瀾の生涯をおくった後醍醐天皇、北条政権を倒し主導権を握ろうともくろむ足利尊氏、更に楠木正成・護良親王…。それぞれの思惑を胸にくり広げた変革と動乱の跡を辿る。従来の南北朝史に新たな視点を加える歴史紀行。
「桜」から、何を思いうかべますか?麻衣子は、やっぱり“恋”。だって、日下くんと、花の咲きほこる中を散歩できるから。“桜餅”って答えたのは、もちろん美奈子。でも、これが今回の事件のキーワードに。鎌倉の旧家で、執事を務めていた長谷老人が殺された。金沢へ桜を見に出かけたはずの老人の身に、いったい何が起きたのだろう。現場に散りばめられた桜の花びらと、旅行カバンに残されたお土産に、驚きの真相が。
鎌倉に育った人気推理作家の異色歴史エッセイ集。
人はいかにすれば救われるか。法然と明恵ー鎌倉新旧仏教を代表する両者の思想対決は、私たちを根源的な問いへと誘う。現実か理想か。他力か自力か。そして、生と死の究極の姿とは。最新の宗教学の成果を踏まえ、二人の対決の彼方に宗教のアクチュアルな「力」の再生の可能性を探る、宗教のポストモダン。
蒼生子はタイムスリップすることができる女子高生。時を超えた恋人・信澄と対立してしまい、もう戦国時代には行かないと心に決めていた。そうして今回飛んだのが鎌倉時代。蒼生子が助けた公暁という男の子は何者かに命を狙われているようだ。公暁と仲の良い叔父・実朝は、呑気に昼間から酒を飲んでばかりいるのだが、実は鎌倉幕府の三代将軍!実朝は蒼生子を気に入っているようだが…。
19世紀の末、3人の市民によって始められたイギリスのナショナル・トラストは、自然と歴史的環境を守る住民運動のひとつの典型を創った。危機に直面した環境を、住民の寄金・寄贈によって保存するナショナル・トラスト運動の歴史と理念、知床、天神崎をはじめ、わが国各地でひろがりつつある活動のすべてを紹介。
「この髪を、けっして解いてはいけないよ」翠は亡き曾祖母の言葉を守り、自分につきまとう得体の知れない力を抑え込んでいた。一方、式を使って霊的な力をコントロールする、式神使いの神戸天明がいた。翠が感じる強い違和感は、相反する力がせめぎ合い、何か蠢きだしたからなのか?そして、ある行方不明事件の謎を追う翠は、自らの途轍もない過去と対峙することに!鎌倉を舞台に「人」と「獣」の壮絶な物語開幕。
鎌倉時代末期。長い間幕府を支配してきた北条一族の娘・姫夜叉と、一族の頂点に立つことが約束されている高時は幼い頃から将来を誓いあっていた。しかし、同族同士の結婚は許されない。周囲が決めた高時の婚礼が三日後に迫った夜、ふたりは駆け落ちを決行したのだが…。姫夜叉の裡に潜む誰かの思惑が時代を動かしてゆく。妖しくも美しい天女が織りなす、ミステリアス伝奇ロマン。