文学一筋に生きた父。忍耐強く仕えた母。時は流れ、いま、愛の深さを想う。作家・中山義秀の娘が綴る書下ろし長篇エッセイ。
強い人間集団を築き歴史を動かしたリーダーたちの意思と決断。
外来宗教の仏教は、鎌倉新仏教の誕生と旧仏教の対応である思想運動を通して定着した。本書は鎌倉幕府と仏教界との相関関係の変遷を縦軸に、新仏教と旧仏教における「神祇信仰」の受容状況を横軸に、中世仏教を構造的に究明する。
自然観察描写の第一人者、ナチュラリストの松岡達英氏が、日本の自然探険に旅立った。その驚きと不思議発見の日々を、心をこめて描きつづった“日本自然探険の旅”。
古代(イザナミ)から世紀末(コギャル)まで。社会の規制を巧みにかわしながらことば遊びを愉しむ女たち。
南軽井沢に開設した「こころ探偵事務所」のスタッフは、元警察庁鉄道警察隊長の井筒とかえで夫婦、元名警部とうたわれた江戸川探偵長、元刑事の尾瀬、元ハコ師の瓜生姉妹の六名。その事務所に何者かに追われているので助けてほしいという美野山明日葉が訪れた。彼女は追われて転んだ際に左足を骨折していた。江戸川は明日葉を近くの五島病院に入院させた。だが彼女はギブスをしたまま、病院から姿を消した。こうして連続殺人事件の幕は切って落された…。
武家政治の都であった鎌倉には、鶴岡八幡宮をはじめ鎌倉五山など、由緒ある古社寺が多い。とりわけ、北条氏が創建した建長寺や円覚寺の建築には中国南宋の様式に基づく「禅宗様」が用いられ、京都をはじめ、全国の禅宗伽藍の規範となった。また近世には、禅宗・浄土宗・日蓮宗などの伝統的な寺院で本格的な大建築が再建され、今日に伝えられている。本書は、建築遺構や指図・古絵図類の調査をもとに、近年の発掘調査も活用しながら、鎌倉郡衙がおかれた古代から江戸末期までの各時代の建築を論述し、その具体像を浮き彫りにする。
本書に登場するのは1950年代、60年代に日本に建てられた建築であり、近代(主義)建築とか、モダニズムの建築と呼ばれるものである。しかし「近代主義建築」という語は建築史以外では一般的ではなく、その一方でかつてこの種の建築を意味する語であった「近代建築」の指示対象は、今では歴史主義(過去の建築様式を適用する設計方法)や和風の建築などを含めるまでに拡大され、“近代の建築”、つまり事実上“近代につくられた建築すべて”になっているので、本書のタイトルでは「モダンアーキテクチャー」とした。この本では24の建物がとり上げられている。その中には、一般的には“作品”とは見なされないものも含まれるが、これはモダンアーキテクチャーの幅の拡がりを示したいという編集の意図によるものである。それらの建物を冷静に見られるだけの時間的距離を持てる建築家が、現在の視点から、個別の建物や建築家を紹介し、批評しているわけである。それぞれのアプローチの仕方はさまざまだが、そのこと自体がモダンアーキテクチャーを解読するという作業の多様性や可能性を示唆する仕掛けにもなっている。
気鋭の歌人が新しい息吹を吹き込んで立ち上げる多彩でたくましい日本語の魅力とそれをとりまくイメージ。「青森県」から「わたつみ」まで200項目。本書では地名、非地名を意識的に混じえて取り上げ、それぞれの語の現代短歌における比喩の輪郭のスケッチを試みた。
消費税5%の実施を機会に、各時代の生産労働者にとっての納税の意味や、国家権力と納税者との矛盾と対立など、租税の問題を歴史的に考察。
本書は、陶芸、染織、革、木彫、金工、七宝、ステンドグラス、刺繍、漆芸などあらゆるクラフトを制作する多くの人々のための、図案デザインのレッスン書です。それぞれのクラフト分野においては、数多くの技法書や図案サンプル集などがすでに出版されていますが、あらゆるクラフトに使える図案デザインに視点を置いた本書は、クラフトを制作する人にとって待望の書といえます。