荒ぶる漆黒の獣は、果たして人間の味方なのか、それとも敵なのかー夢から甦った獣・銀流を制御しきれぬ翠は、懊悩し続ける。その惑いにつけ込み、獣を我がものにしようと動きだす、黒衣の式神使い、神戸天明。今、太古の闇深淵から涌き上がる、新たな化生の気配を孕んで、鎌倉を騒ぐ!そして、赤瀬が誘われた切通しの森に散乱するぬめりを帯びた白骨が意味するものは何?少女と獣とに襲いかかる、過去の謎とは。
八百年の時を超えて甦った日本最初の「武士道精神」の実践者。景時は「讒言者」ではなかった。
鎌倉幕府の御家人、比企・和田・三浦・安達氏らを次々と滅ぼし、全国支配をなし遂げた北条一族の全貌を解き明かす。
鎌倉時代の言語は、国語史上の、いわゆる中世語の前半期に当り、日本語が古代語から近代語に移り変る過渡期の重要な位置にあるにも拘らず、その研究は、他の時代語の研究に比べて立ち遅れており、今後の開拓が大いに必要とされるところであった。本書では、当鎌倉時代語の資料の発掘、紹介、翻刻とその記述を重んじ、文献資料に沈潜し、研究上の諸問題や研究方法を記載している。
四方を山と海に囲まれたもののふの都鎌倉。幕府が置かれ、寺院や館が立ち並ぶ往時の姿を、現在も偲ぶことができる。切通し、やぐらなど、北条氏ゆかりの地を中心に紹介する散策のための決定版。
日美子は、友人の宮地芳乃が鎌倉の屋敷内に開店した中華料理店「流鏑馬」に招かれる。ところが芳乃は夫・義則の急病で留守。そして厨房では、なんと女が大釜で煮られていた。被害者は義則の弟・義次郎の妻・しづ江。コックらを含め、宮地邸では複雑な愛憎劇が潜んでいるらしい。さらに失踪したサブ・コックの部屋からはビニール袋に詰められたバラバラ死体が…。恐るべき猟奇殺人に、タロット日美子が挑む。
後醍醐帝は遠大なる野望に燃えていた。かつて後鳥羽帝が目指し志半ばで潰えた王政復古、つまり天皇親政の再建である。二度の蒙古襲来で鎌倉政権は衰退している。元弘三年、楠木正成、新田義貞、足利尊氏の挙兵に助けられ、後醍醐帝はついに討幕を果たした。しかし帝を待ち受けていたのは、皇位に二帝が即くという、前代未聞の南北朝の動乱だった…。
材木座・光明寺の縁日で出会った江戸小物の露店商。手のひらサイズの精巧な一軒屋に心奪われた由紀は、ミニチュア作りに熱中しはじめ、やがてー(「小物細工の家」)。海岸通りにある屋台の牛丼屋には、夜毎変わった客が訪れる。中には人間だか何だかわからない客もいるようでー(「屋台の客」)など、古都・鎌倉を舞台にした奇譚9篇を収録。
天国をご存じですか?そこには、本屋さんも喫茶店も、小さな公園もあります。もちろん、恋だって。この世からアルバイトに雇われたさとしは、縁色の目をしたユイを好きになります。でも、ユイには人に言えない秘密が…。はたして、ふたりの恋のゆくえは?悲しいことも、死にたいほど辛いことだって楽しくなるラブ・ストーリー。
蒙古襲来のあとさき、鎌倉武士たちの行動と精神のかたちを、いきいきと蘇らせる。
源頼朝は、以仁王の令旨を受け取ったから挙兵したのか。畠山重忠は、源家重代の家人といえるのか。北条政子は、息子である頼家をなぜ将軍職から追い落としたのか。源実朝は、どうして将軍になれたのか。従来、通説として流布してきた鎌倉幕府にまつわる出来事を、正史『吾妻鏡』の精緻な読みなおしによって、白日の元にさらす。将軍権力や執権体制の形成と変革の過程の実態に迫り、鎌倉幕府の歴史にあらたな光を当てる。