著者は、生まれ育ちの気質から、最近の有機農業の流行とも言える現象に危機感をもつようになった。生産の現場からは「有機農法」「自然農法」と銘打った農産物が送り出されている。スーパーや自然食品の店、八百屋などには「有機」の表示が並んでいる。しかしともすれば「金儲けのためには手段を選ばず」という傾向も見られる。消費者、とくに一家の食をあずかる主婦は、家族の健康と安全のためにと有機農産物を求めて右往左往している。図書館や書店には、有機農業関係の書籍が陳列・販売されている。しかし、残念ながら農民から発信されたものは皆無にちかい。十代から農業にたずさわり、昭和の六十余年、平成十余年、日本農業の変転を身をもって体験してきた者として、そして二十有余年、生協との産直にとりくんできた者として、いまのような有機農業の「流行現象」を黙って見過ごすことはできない。なぜ、有機農業が必要になったのか、有機農業がいかなる可能性をもっているのかを、老骨に鞭打ち、生産の現場から発信したい。
本書は、エネルギー問題について概観した後、一応、大気圏、水圏、生物圏に分けてそれぞれにおけるテーマを具体的な事例を参考に取り上げているが、常に関連する他章を参照するように指示があり、環境問題が境界のない、そしてグローバルな問題であることを改めて認識させられる。本書の説明方法は平易かつ丁寧で、学生の自学自習用に適している。学生に本書を予め読ませておくことにより、教室では、まず内容の理解を確認し、併せて時間の許す限り説明事項を追加してより深い理解に導くという教育方法を試みることもできよう。引用文献もあるが、教科書として使用する場合には適宜国内文献を追加されることが望ましい。なお、本書のもう一つの特長は洗練された練習問題にあり、問題を解くうちに、個々の事象を具体的に理解できるとともに、他の事象との関連を知ることができる。
現代社会は、生き物たちが新しいドラマを演じる大舞台なのである。本書は、現代日本に生きる生物の現状に焦点をあて、その生きざまを描写することをつうじて、現代社会にふさわしい自然のとらえ方を考えてみたものである。
本書は日ごろそれぞれの分野で関わりをもっている方々が執筆。実用的な立場で現在までに開発され、上市されたものや臨床段階のものを含めたこれまでの流れをここ10年の動向を中心として、フッ素系生理活性物質のこの間の進歩と応用展開の概略を紹介するものである。
新技術の開発が作物生産の省力、多収、高品質化の進展に対していかに大きく貢献したか計り知れない。ちなみに、稲作についてみると、4、50年前までは10a当り200時間余りも要していた作業時間が今では30時間程度まで短縮している。さらに作業別にみると田植機や収穫期の機械化による省力化が大きいが、除草剤の利用によって除草作業が30分の1程度まで激減していることが注目される。酷暑の中、文字通り田んぼにはいつくばって手取りしていた重労働が今や昔話になっており、軽労化に対する除草剤の貢献度もかなり大きい。本書は、2000年版追補としてジャンボ剤4剤についての解説をまとめたものである。
1864年、出生。1887年、東京法学校卒業。1888年、代言試験に合格し横浜にて代言開業。1893年、豊岡にて弁護士開業。1930年まで豊岡で弁護士として活動。馬袋鶴之助のこの経歴は、日本近代における在野学識法曹の形成と展開の軌跡をそのまま表現している。本書は、この馬袋鶴之助の残した膨大な弁護史料と判決原本をつきあわせ日本法制史研究に新しい領域をつくりだそうとするものである。
優秀なる生活設計診断士・舞鶴順平。絶妙のテクニックで女性を幸福の境地へといたらしめる彼を、人は導淫師と呼ぶ。舞鶴は、未亡人・壇上三千絵から、ベッドの上で調査依頼を受けた。「祖父が遺言状作成をした際の証人三人は嘘をついているのではないか」と…。さいわいなことに、疑惑の証人たちは、美貌の女性ばかりだ!女の夢、男の夢を叶える物語。
本書は、初級中国語を終えた学習者を対象とした中級テキストである。新中国の歩みや現代中国の動きに重点を置き、解説している。
本書は、閉塞状況にあって、労働組合としての新たな道を切り拓こうとしている最近の労働組合の動きを検討し、その今日的課題を解析しようとするものである。
農薬研究開発で新しい方向性が出つつある中で、農薬開発に携わる我々自身が農薬がどのような動向になっているのかを今一度把握する必要性を感じていた。このような時にタイミング良く本書が企画されたので、この機会にこのたび新規農薬を中心に研究の流れ、作用性、商品としての特長等を豊富な文献をもとにまとめた。また新たに「生物農薬および組み換え体作物」の章を設け農薬事業全般の動向がわかるようにした。