「勉強ができる」ことを、当たり前だと思っていた。東京の名門大学に入学したものの人生初の挫折に打ちひしがれていた僕は、一人旅のために始めたバイトで、金沢から来た大学生ユミと出会う。ユミが書いた一編の小説、旅中に携えていた数冊の本、そして彼女と目にした“あるもの”-。自尊心が傷つき、自分自身とうまく向き合えなかった僕を揺り動かしたものとは。遠く離れた地での青春が、次第に重なり合ってゆく。
ぴっちん、ぴっちん、ぽっつん、ぽっつん。いろんなあめのおとをききながら、ふたりはもりのなかであまやどり。
ヤクザが営む少女売春シンジケート。東中野にある、援デリ。リー、美香、木村と暴力団の思惑が交差する場所で、物語は爆ぜた。新宿・歌舞伎町を舞台に、平成から令和にかけて鮮やかに描かれたリーたちの物語。その最終章でリーは因縁深い相手と激突し、相棒の純ちゃんも避けては通れなかった男と対峙する。「飛鳥クリニックは今日も雨」3部作、ここに完結。
同じ民族が争うことになった朝鮮民族の分断と混乱の続く困難な時代ー1950年代ーを文学はいかに生き抜いたか。植民地から解放されても朝鮮戦争の戦後、完全に南北に分断され交流を絶された人々の苦悩は続く。
深川元加賀町で夜遅く辻斬りがあり、その三日後、別の場所でも立て続けに辻斬りが起きた。殺された町人たちの袂には、同一人物の墨痕で剣士・鷹森真九郎の名が記された書付が入っていた。突然の名指しに戸惑いながらも真九郎は、重苦しくけぶる秋雨のような「闇」との戦いから、逃げることはできないと覚悟を決めるのだがー長編時代小説、第五弾!
大学卒業まで残り一年。理系探偵&助手としての二人暮らしに終わりが近づいていた。先輩・月也の単位不足に、その留年費を工面するため陽介は休学を申し出る。だがー“犯行計画が出来次第、陽介の世界を壊してやるから”という謎めいたメッセージを最後に、月也は部屋を去ってしまった。一体、なぜ?その言葉に秘められた想いとは?やがて、月也の出自に隠された「日下」と「桂」の真実が明かされる時、これまでの世界が反転する!「家族になってくれますか、先輩?」“ステイ・ホーム”ミステリー堂々完結!
しとしと降る雨の中、いたずらくまのこが過ごす時間は小さな楽しみにあふれて…。家庭で、保育の現場で、長年うたい継がれてきた、名曲「あめふりくまのこ」。歌の世界が広がる、しっとりと美しい童謡の絵本。
今日は雨降り。それでもぞうくんはごきげん。かばくんと一緒にお池の中を散歩します。ところがお池は深くなって、泳げないぞうくんは…。小学校初級向き絵本。
あなたはとってもかわいいよ。ひとりひとりが主人公。
皆が求める“普通”の「私」でいなきゃいけない。どうせ変われないって、私は私を諦めていた。「海いかない?」そんな息苦しい日々から連れ出してくれたのは、成績優秀で、爽やかで、皆から好かれてたくせに失踪した「らしい」と学校に来なくなった君だったー。
幻想に満ちた魔術学院ドラクロウ。偉大な師の元で愛され育った天才少女・シャロムは、突然魔力を失い、今は学院の落ちこぼれだ。ある朝シャロムが妖精の悪戯に困っていると、一人の少年に助けられる。口の悪い彼は学院一優秀な生徒・ユエルで、なぜかシャロムは試験のパートナーに見込まれてしまった。躊躇いながらも協力し、次第に心通わせる二人。だがシャロムは悲しい真実を知る。呪いに蝕まれ、もう決して元の“雨の魔術師”に戻れない事をー。すれ違いながらも二人の魔術師が歩む、恋と再生を紡いだ物語。