「懐かし〜いっ」のただその一言。どの曲も遠い郷愁の彼方から次々と蘇ってくる。聴いていくうちに知らず、知らず、CDにあわせて口ずさんでいる自分が少し怖い。だが、それもアニメの主題歌としての命題、つまり、子供でも覚えやすく、歌いやすい、という条件をきっちりクリアーしているがゆえに、この歳になっても原体験として心のどこかに1曲、1曲が生きているからであろう。
チベット仏教を中心としたさまざまな宗教といくつもの民族それぞれの要素が、渾然一体となったところから生まれたチベットの音楽芸能を、民謡中心にまとめ上げたアルバム。伴奏楽器として20個以上もの太鼓を並打ちするマダール・タラングが聴ける。
レオンハルトが指揮したクイケン兄弟も加わる古楽合奏団は、先鋭な音楽で知られているけれど、1972年創設の翌年、もっとも初期の録音がリュリだったのはおもしろい。その名称はリュリの率いた楽団の名なのだから。華麗で透き通るほどに美しい演奏だ。
大石油会社の社長夫人だったフローレンスは、ひどい音痴であったにもかかわらず、オペラの夢を捨てきれず、1944年、遂にカーネギーホールでリサイタルを開いた。これはそのときのライヴ。
バーンスタインは、アメリカの音楽家からヨーロッパ公認の音楽家に近づくに従って音楽が肉体性を失い、どんどん作り物めいていった。「火の鳥」の荒っぽいダイナミズムの魅力に較べて、「春の祭典」は、え? なんで? という瞬間にしばしば戸惑わされる。
レコーディング中にドラムの川西幸一が脱退したことで“解散アルバム”となってしまった93年発表作。川西へのメッセージ・ソングとも言われる名曲「すばらしい日々」を収録した、シンプルかつ骨太なロック・アルバムだ。
春真っ盛りの今日この頃、エポ・サウンドが心地よい季節になりました…って、まるで時候の挨拶!? でも、なにをどこで聴いてもすぐわかる世界から生まれる“元気”は、強烈な夏の日差しじゃなくて、ポカポカ陽気に似合います。常に“らしく”あった10年ですね。