「乳頭の色は?」鶴光と仁鶴の一番弟子、仁智の上方艶笑落語。鶴光の「初天神」は庶民の生活描写が細やか。仁智の「びっくり解体新書」は身体の各パーツが語り出すというシュールな創作落語。味わいの深さでは圧倒的に鶴光が上。鶴光は84年、仁智は86年の収録。
84年収録の「うれしカルカル」仁鶴とタイガース命、春蝶はんの艶噺。艶噺といってもギラギラしたものはなく、どちらもじっくり聞かせる。とりわけ春蝶さんの名調子が懐かしい。解説が初回のままで「春蝶さんは健康に気を遣い云々」の記述がいささか悲しい。
創作落語の旗手の一人として知られるが、古典を演らせても非凡なところを見せる。アバウトに演じているようだが、その実、キッチリと計算された運びで、並ではない実力が感じられる。上方落語界の中堅として、着実に成長していることを証明する1枚と言える。
84年9月録音のライヴ。艶笑落語を2本収録している。噺としては相当えげつないのだが福郎が嫌味なく笑わせる「宿屋嬶」、女だけが棲む島を探し求めての旅の「島巡り」は男なら一度は想像したことのありそうなもの。まあポルノチック落語というやつだ。
師弟競演の1枚。大看板・春団治は藝人としての育ちのよさを感じさせる色気が何とも言えない。「親子茶屋」で茶屋噺の面白さをタップリと味わえる。福団治の「疝気の虫」は元々上方噺だが、最近は東京の方が演じ手が多い。間のよさは今後を大いに期待させる。
四代目・林家染丸の染二時代の高座(84年、86年)を収録している。上方ならではの下世話なエロティカルな噺である「尻餅」、枕が10分近くもある「紙入れ間男」といいスピード感のある才気のたった若々しいこの10年前の噺には、やはり可能性がいっぱい。
シリーズ最後は、マクラに使う小咄を集めている。(2)のほうもちょっと長めの小咄といってもいいくらいなもの。露乃五郎の(1)は怪談ものの艶笑小咄集というちょっと凝ったつくり。桂春之助の方は上方ならではの小便(この手の噺がすきなんだ関西は)噺。
上方にて先鞭がつけられた艶句の世界を公開。俳諧において、恋の句のない巻は「はした物」として、完備したものとは認められていない。本書は性を中心とする上方雑俳に、川柳以外の江戸作品を若干加えたものである。