時間におわれ、おちつきを失って人間本来の生き方を忘れてしまった現代の人々。このように人間たちから時間を奪っているのは、実は時間泥棒の一味のしわざなのだ。ふしぎな少女モモは、時間をとりもどしに「時間の国」へゆく。そこには「時間の花」が輝くように花ひらいていた。時間の真の意味を問う異色のファンタジー。小学5・6年以上向き。
あまたの詩人を輩出し、イタリア帰属の夢と引換えに凋落の道を辿った辺境都市、トリエステ。その地に吹く北風が、かつてミラノで共に生きた家族たちの賑やかな記憶を燃え立たせるー。書物を愛し、語り合う楽しみを持つ世の人々に惜しまれて逝った著者が、知の光と歴史の影を愛惜に満ちた文体で綴った作品集。未完長編の魁となったエッセイ(単行本未収録)を併録する。
やさしい心をもち、自然のなかに生きた宮沢賢治。農村の人びとのためにつくして生きた賢治は、一方で、いまも愛されるたくさんの詩や童話をのこしました。かれの胸には、いったいどんな夢があったのでしょうか。
この世には不思議なことなど何もないのだよー古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。
「仙人」と呼ばれ古今の文化人が憧れた並みの尺度で測れない『自由な精神』に生きた熊谷守一をここに凝縮。無作為の画・傑出の書・滋養の言葉・美しい姿。油彩52点、書8点、デッサン4点、言葉38篇、ポートレート13点。次女・熊谷榧が語る、素顔の守一「もの語り年譜」付。
本書は保育の現場で保育の方法を考えたり、援助の在り方を見直したり、保育の計画として「保育計画」や「指導計画」の結びつきや立案、それらの記入に際して悩むことが多いという保育者からの声に応えようとして、日本保育協会刊行の『保育界』の中にあるシリーズ「ほいくの基本とは」に1992年10月号〜98年4月号まで掲載してある文章をまとめたものです。保育の方法から保育の計画、また障害児の保育を含めて具体的な事例を中心にまとめてあります。さらに毎日の保育が終わった時に「何を大切に記録したらよいか」といった評価、反省についても記述しています。
マルチン・ブーバーの後継者として20世紀ユダヤ教を代表する神学者の、最も重要な著作。存在の神秘に覚醒し、言葉で言い表わしえぬものへの驚きのうちに神の充満を直感する。はるかな時空を旅するユダヤの民が生きる、神の現臨の信仰。「神の過剰なる愛」の展開。
幕末の激動の時代を、駆けぬけるように生きた竜馬。その魅力的な人がらと、自由な考え方で、周囲の人びとをうごかし、時代をうごかしていったのです。
革命と反革命がせめぎあう20世紀ラテンアメリカを舞台に検証する-。宗教パワーはどう動くか。
フェミニズムとポストコロニアルの問題圏の交差点に定位しつつ、サバルタンの女性と知識人のあり方をめぐって展開される目眩く筆致。従属的地位にあるサバルタンの女性について、知識人は語ることができるのか、フーコーやドゥルーズを批判しながら、一方でインドの寡婦殉死の慣習を詳細に検討した、現代思想の到達地平。
およそ二百六十年もつづいた江戸時代。戦乱の時代を知恵と力で生きぬいて、長い太平の世の基礎をつくった徳川家康とは、いったいどんな人だったのでしょう。どちらから読んでもよくわかる、新しい伝記シリーズ!ものしりガイドつき。