はるか離れた異世界〈ファイブリア〉に現れたる六人の若き?冒険者たち。彼らは怪物退治や宝探しはもちろん、何だってこなしちゃう言わばもめごとの始末屋だー。ところが何の拍子か広大なる地底世界〈クリュオ〉に引きずり込まれ、右往左往の大混乱。「帰りたいよぉ」、「お日様が変しいよぉ」…目的地は知識の宝庫〈クーダ神殿〉、地上への道をめざして、おかしな、おかしな連中の珍道中が始まった。奇妙奇天烈、不何思議千万、RPG感覚タップリの冒険ファンタジー新登場。
めくるめくような紺碧の内海と熱砂の大地に、国は滅んだ。その国の名は、リディア。アリオスの亡き母セミラミスの祖国であった。竪琴弾きのアリオスは、若き日々を、孤島レスポスで育った後、親友ピッタコスの事件が起きたため娼婦ロドピスとともに、旧リディアの大地へ航ってゆく。そこでアリオスの見たものは、母セミラミスの戦いぬいた戦乱の記憶だった。ヘロドトスの「歴史」がいま、時空を超えて、俊英・秋月達郎の剛筆により絢爛とここに甦る。
田園都市の病院長として精一杯生きて来た74年の足跡をありのまま綴る。大正、昭和、平成をリリカルに追憶。
不思議感覚(センス・オブ・ワンダー)溢れる小説集。
文学の師・太宰治の墓前で37歳の秋、自裁した亡父・田中英光への鎮魂歌。失われた父の像を描くことで、自らのアイデンティティと再生を語る著者初の「私」小説。
臨時雇いとして、影でCIAの仕事に携わりつづけた一人の男が死んだ。彼の名はステディ・ヘインズ。ひっそりと生きた彼は、ひっそりと死んだ。アーリントン国立墓地で行われた葬儀に出席した会葬者は、政府からのまわし者をのぞけば、故人の息子と愛人と旧友のたった三人だけだった。だがステディの遺産は、その目立たない人生とは裏腹にCIAを震撼させた。彼は自分の関わった仕事の内容を暴露した回想録の原稿を息子に残していたのだ。CIAは回想録を握りつぶそうと動きはじめる。しかし、それを狙っているのはCIAだけではなかった。ステディの葬儀に出席した三人が馴染みの〈マックの店〉で旧交を温めた直後から、何者かが彼らの命を狙いはじめたのだ。ステディの息子で殺人課の元刑事グラニー・ヘインズは、殺人者への反撃を決意する。彼は〈マックの店〉を根拠地に仲間を集め、回想録の原稿を餌に復讐の罠を張るが…。予断を許さぬ巧みなストーリーテリングと粋な会話で並ぶ者なきロス・トーマスの、“巨匠屈指の傑作”と評された最新作。
琉球新報短篇小説賞受賞作品所収。
真実の愛を求めて彷徨する無垢な魂。人を愛することの苦悩と孤独を一人の青年のしみ通るようなやさしさの中に描いた未完の長編小説。
わが国の経済学に大きな影響を及ぼしたアメリカ経済学。その発展に寄与したサムエルソンの経済学を中心に、現代アメリカ経済学の展開を批判的に検証。ケインズ経済学の普及と新古典派総合の隆盛、マネタリストの挑戦、「新しい古典派」の台頭とケインズ経済学の否定といった流れを総合的に把握する作業を通して、経済学とは何か、経済学的考え方とは何かを説き明かした格好の経済学案内。
人物描出の巧み。清冽・多彩な筆に加えた一刷けのユーモア。剣客小説の金字塔。
ある夏の日、青年は失踪者のように都会を脱け出し、その小さな島にやってきた。彼はそこで、無菌豚を飼う奇矯な老人“天気作り”とその娘に出会う。そして、いわれるままに、虚しくも幻想的なある訓練に打ち込んでいくー。芥川賞受賞の俊鋭が贈る、澄明な哀しみと優しいユーモアにみちた若き生のメッセージ。三島賞受賞作。
冷戦型・勢力均衡型の枠組みを超える政治学、国際関係論は何か。古典的自由主義を前提する現代経済学の突破口はどこか。社会・人文科学の痛念、経済発展論の常識への根本批判。
謎の人物から死の予告状を届けられた教祖が、その予告通りに地上80メートルにある密室から消えた。そして4時間後には、二重生活を営んでいた教祖のマンションで首なし死体が見つかる。死体は教祖?なぜ首を奪ったか?連続怪事の真相が解けたときの驚愕とは?新鋭の骨格豊かな力作。
思い出のハリウッドスターをノスタルジックなタッチで描いた久保幸造のファンタジーな世界。