「タジェナ山脈だ…」数々の苦難を乗り越えて、カイルロッドは遂にタジェナに辿り着いた。出会った人々の面影がカイルロッドの脳裏をよぎる。いよいよムルトを倒し、ルナンの都を救うのだ。雪に覆われたタジェナを登って行くカイルロッドたち。彼らを、化物たちは執拗に攻撃してくる。そんな化物を毛散らしたカイルロッドの前に、途中の街で出会ったヴァランチーヌが現われた。「どうしてもムルトを倒すというのね」その声にあるのは敵意や殺意ではなく、深い悲しみだった…。急転直下のシリーズ第6弾。カイルロッドよ、まばゆく輝き、闇を討て。
仕事も家庭も満ち足りた中年に突然甦る青春の恋心を描く10編。
狼になるために「勝利者の地」にやってきた少年、ジェフリー。金鉱が発見され、無法地帯となったこの地では、黄昏狼ー彼らの正式な名称は処刑執行請負業者。総督府の認可を受けて、犯罪者を狩る賞金稼ぎーが治安を護っている。正義の拳銃で極悪非道の輩を裁く血塗られた法服への憧れ、そして胸の奥深く秘めたある目的から、ジェフリーはやってきた。だが、見知らぬ土地で、人を撃った経験もなくては、生き残る可能性は全くなかった。ミニマムと名乗る緑の髪の少女と出会うまでは。
1859年11月24日、「神の死」を決定づける書が世に出た。初版1250部の『種の起源』は、即日完売となる。「進歩の夢」と「ニヒリズム」が、交錯する世紀末。マルクス主義・自然主義・帝国主義・社会ダーウィニズム…。あらゆる知の分野は、「進化論」のうえに再構築され、20世紀へと突入する。世紀末を飾ったテクストをとおし、ダーウィニズムの思想的磁場を考察した意欲作。
グラフィック・デザインの最前線を疾走する表現者による真に実験体な試み。実作者必携。Macintosh Landseape CG、魔術的衝撃。
新天地を求めて、韓半島から倭国に渡ってくる舟中に、伽耶国の王子の姿があった。名を伊可留と言い、万人を超える異能力の持ち主であった。伊可留が辿り着いたところは、女王卑弥呼が支配する邪馬台国だった。しかし、容貌に衰えを見せ始めた卑弥呼には、諸国を治める霊力さえ翳りつつあった。卑弥呼に留まることを請われたが、伊可留は伽耶人が棲む大和へと向かった。そこは辰砂(朱)を産する地で、これを掌握する者が最高権力者になり得るほど貴重なものだった。それを求めて雄略天皇が、やがて継体天皇が飛鳥の地に進出し、歴史は放たれた独楽のように回転していくのだった…。卑弥呼の時代から聖徳太子の青春期までを描く大河歴史小説。
架空都市ユマジュニートに襲いかかる破壊の王・虹竜仮象の地平を超えて守り抜こうとする美貌の少年少女たち。それは-夢と呪文に幻作された超絶技巧の物語。
メディア社会の勝ち残りを賭けた巨人の戦略とは何か。
痴呆、脳卒中、骨粗鬆症、難聴など老年期特有の病に屈さず、豊かな老後を送るためにはどうすればよいか。循環器疾患のベテランとして数多くの「老い」と出会ってきた著者が、高齢化社会のなかで新しい生きがいを見つけ、心身の健康を保っていくためのコツを説き、お年寄りの悩みにこたえる。
欧州通貨制度の崩壊、地域主義・分権主義の台頭。欧州を分裂へと向かわせる力学を鮮やかに解明し、ポスト・マーストリヒトの欧州像を展望する。
音楽教育にたずさわる著者が、海を越えて出会った人々との交流と欧米の老人ホーム事情を紹介しつつ、人生の秋をおだやかに語る。巻末に〈ブラームス作、ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ作品24〉の解説を併載。
ナチス史研究に優れた業績を挙げた歴史家が、アウシュヴィッツ以後の視線から、西欧合理化過程のパラドクスに真摯に取組んだ「歴史家」ウェーバーによる「近代の病理学」の根幹を掴み出す。
時代の巨大なうねりのなかで、没落していったハプスブルク王朝。マイヤーリンクの謎のうちに情死した皇太子ルドルフ、暗殺された皇后エリーザベトなど、皇帝フランツ・ヨーゼフを巡る悲劇の一族の栄光と悲惨を、世紀末都市ウィーンのなかに描きだす。
本書〈アーチスト・サウンド・シリーズ〉は、初級段階を終え、さらに実力アップを図ろうとするプレイヤーのために企画された実践本です。一流アーチストによるインストラクションのもと、実践に役立つ基礎の復習から応用的な奏法のマスターへと向かいます。
日本軍は開戦70日にして、英国極東戦略の要衝シンガポールを陥れた。英国民がその不敗を信じて疑わなかった要塞が、なぜかくも脆く、かつ速やかに陥落してしまったのか。著者は、関連する膨大な記録と資料を渉猟するとともに、同地での戦争を体験した人々にインタビューを行ない、本書にこの疑問の回答を示している。文庫オリジナル版。