外為相場の舞台裏とは。ディーリングルームをドキュメントタッチで描きだす。
その朝教室に入っていったわたしは、数学教師エヴァンズの他殺死体を発見した。格別つきあいのなかった彼がなぜこの早朝わたしの教室で殺されていたのか。まもなく、かつての教え子だったエヴァンズの息子が、時を同じくして姿を消していたことを知らされ、わたしは事件の深みに踏み入ることに…。シカゴ郊外のハイスクールを舞台に、ゲイの英語教師が見た現代の悲劇とは。
モノの消費から記号の消費へ、「進歩」から「差異化」へ、男の子の夢から女の子の夢へ。『りぼん』のふろくがファンシー化を開始する’74年は高度成長の時代と消費社会の時代のちょうど境界に位置する時間である。〈物語〉と〈商品〉の間に成立した〈ふろく〉を通して、80年代〈消費社会〉誕生の光景を描く。田渕由美子、陸奥A子への10の質問を付す。
景気停滞の長いトンネルに入った日本経済。今や、金融の空洞化さえ現実化しつつある。『複合不況』の著者が、戦後日本の50年を跡づけ、世界経済の大きな歴史のうねりを洞察しながら21世紀に向かう新しい道筋を考える。
ある夜、ユーザの姿が消えた。行方を捜すユリエとカイは、ユーザをさらったのが、伯爵家の美しい姉妹であることを知る。姉のフラナーゼは、領主であった夫を亡くしている若き未亡人。妹のルシーラが、姉に代わって館を動かしている。だが、姉妹が住む館については、数年前からよからぬ噂が流れていた。しばしば左右の瞳の色が異なる人間が連れこまれ、誰も戻って来た者はいないという…。
「死」への想いを心に抱き、南の島に旅した作家が、サンゴ礁の渚で漁師の老人に出会った。奇妙に息のあったふたりは、老人の家で酒を酌みかわすことになった。酔いが回るにつれ、作家は37歳で自殺した父のイメージを老人に重ね合わせるー亡父・田中英光との葛藤と和解を描き、自らのアイデンティティの回復を語る著者初の「私」小説。
築地明石町界隈。鉄火肌に隠された切ない想い。ポーカーの札に託す愛もある。別れに涙はいらない。物語が生れる町。連作小説集。
「驚かせてすみません」二十五歳の平凡なサラリーマン渦野唯人の人生はその日を境にすっかり狂ってしまった。休日、アパートの押入れから突然聞こえた人間の声。「痛っ、押すな」しかも中にいるのは一人じゃない。「今、出ていくから」「おれも出るぞ」「次、行くぞ」一体何人いるんだ。おまけに顔はみな同じ。出て来た男たちはなんと渦野本人だったのだ。(『21人いる』)他、懐かしさあふれる珠玉小説集。
戦闘で、愛する女性イゾルテを亡くし、失意の時を過ごすアーサーを待ち受ける、最後の戦いとは。アーサー、ランスロット&ベーオウルフ軍は、宿敵シド=ルシフェル、ジークフリード軍と、ミカの君臨する神々の地ヴァルハラにてついに雌雄を決することになる。大好評、奇想天外RPGロマンいよいよクライマックスに突入。
縦型の集結社会やその巨大技術が“たそがれ”に向かい、横型の分散多様化社会での情報時代の暁になりつつある世紀末のアメリカや日本は、これからどのような途をたどるのであろうか。在米の日本人の目から見た巨大技術社会と科学技術の戦後50年の流れと変化を解明する。
名作「上海バンスキング」「河原ものがたり」「黄昏のボードビル」を一挙収録。ジャズ、芝居、ワ印。歴史に翻弄され、あるいはしたたかに生き抜く人間の姿を「暗愁」の思いを込めて見事に描いた斎藤憐の傑作戯曲集第3巻。
悲劇の小国アルバニアの青年作家はなにを見たか。パステルナークのノーベル賞受賞をめぐってクレムリンの神々がまきおこすイデオロギーの嵐。民族の桎梏に破れさる恋。スラブ神話や民間伝承をモチーフに描く自伝的小説。
栗村夏樹は都内の短大生で剣道三段の腕前。自宅近くの警察署の捜査一係・牧田刑事から電話がかかり、夏樹の友人・桂木亜沙美が誘拐され、身代金一億円を要求する脅迫状が、ファックスで届いたという…。’94年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞したトリック・メーカーの著者が構想二年、満を持して放つトリック&ドンデン返し。「海に沈む夕陽、“殺人者”が若い女性を断崖絶壁に追いつめ、最後の電話をかけさせる」-プロローグに込められた三つの謎とは。読者はこの仕掛けをどこで見破るか。書下ろし本格推理傑作。
本書は、事故の全経緯を豊富な取材に基づいて検証し、事故の原因をはじめ、常に軍事利用を伴って進められた増殖炉開発の歴史、推進勢力の奢りと腐敗、そのハイテクノロジー偏重体質のもたらした基礎技術の軽視、浪費を前提にしたエネルギー政策、などの問題点を多角的に論じながら、脱プルトニウム社会への方向性を提起する。
これがインターネットの現実だ。よく分かるインターネットの限界と可能性。