かぐや姫、バンバンといったグループが展開してきた哀しき青春物語を、今日的なアプローチで聴かせているシグナルのベスト・アルバム。ヒット曲(1)は優しさいっぱいの男が当然のごとくいる。20年前の青春では男の優しさが彼女には恐かったのだが。
前作より1年半ぶりの本作でも、やしきたかじんの「歌ではめちゃくちゃ男前」な世界は変わっていない。アルコールの香りが感じられる詞曲の大人っぽさに、歌を引き立てるプロフェッショナルなアレンジ。「日本のオトナ」のためのポップス。
なんて郷愁を帯びたアコースティック・ギターの音色だろう。彼自身とてもロマンチックな人に違いない。丸山ももたろうが作り出すアコギのみのインスト世界には、日本の童謡にも似た、純真な心を呼び起こしてくれる感動が満ちあふれている。心休まる1枚だ。
バレンボイムはシカゴ交響楽団から実に彫りの深い充実した響きを引き出し、舞台を彷佛させる劇的起伏に富んだ演奏を繰り広げる。バイロイトでの経験に裏付けられた自信のなせる業だろうか、巨匠的輝きに満ちた名演は終曲に至り、圧倒的感動を呼び起こす。
フィンランドが生んだ最初の国際的ピアニスト、ハンニカイネンの作品を、舘野泉が素晴らしいピアノタッチで再現。「幻想変奏曲」など、洗練されつくした魅力的な楽曲ばかりが揃っている。
バレンボイムは88年以来バイロイト音楽祭で「指環」の指揮をとっており、この「神々の黄昏」が91,92年の上演による全曲録音の完結編となる。“ワーグナー指揮者”としてのバレンボイムの最近の充実ぶりを伝える、幅と深さをもった演奏である。
アレンジに十川知司、松本晃彦、大森俊之を迎えた、全曲自作詞のアルバム。変わらぬ安定した歌声を聴かせてくれる。でも、この「変わらぬ」というところが、けっこう大変な努力が必要だったりするわけで、ベテランの底力を感じさせてくれるわけです。