井上孫四郎は、将来を有望視される南町奉行所の風烈廻り与力だったが、父親との反目からお役儀返上し、しがない浪人の身となった。貧乏ゆえの金欲しさで町のご隠居の愛犬捜しを引き受けた孫四郎だったが、ある日「お父ちゃんが迷子になった」と言い張る少年に出会う。孫四郎はその父親を必死に捜し出そうとするが、少年親子には並々ならぬ曰く因縁があった…。愛妻や仲間たちの助けを得ながら、はぐれ与力・孫四郎が人情の町、江戸を駆け回る。
環境破壊と貧窮のうちにゆっくりと滅びつつある近未来の日本。老夫婦が辿りついた理想の“終の棲家”とは(表題作)。現在・過去・未来にわたり、すべての生きとし生けるものに等しくやってくる終末の風景を、時に叙情的に、時に黒い笑いを交えて直木賞作家は描き出す。もしかしたらそれは、明日のあなたのことかもしれないー甘美な破滅と残酷な救済が織りなす、8つのものがたり。
ヴォーカルの小西透太率いるスリー・ピース・バンドのファースト・アルバム。その小西によるソングライティングが秀逸で、カラリと明るいメロだったりエモーショナルな高揚感があったり、あるいはアコギ1本のリリカルな曲など多彩。どれもフックの利いた曲ばかり。
「黄昏のビギン」が入ってる! これだけでも玄人好み。もちろん今流行の「千の風になって」が売りだが、英語、日本語の詩の朗読入り。こちらもくすぐられる演出効果。長野のギターはしかし正統的で表現は媚びずに晴朗とした歌わせ方。良いアルバムだ。
V6や鈴木雅之、HALCALIらへの楽曲提供でも知られる近藤薫の2007年7月発表のアルバム。OVA版『テニスの王子様』のエンディング曲「ハロー&グッバイ」などを収録。一字一句、一音一音を大切にした丁寧な作風だ。
わたしは逃げた。世界から目を背けて。大切な人を救わずに、逃げろと言われて、ただ怯えて。…でも。それからずっと心の中で、声が響いている。-本当に何も、できなかったの?-心に想い描いた世界を招き寄せる召喚術・名詠式。その専修学校トレミア・アカデミーの夏期移動教室で、原因不明の石化事件が発生した。類希な名詠式の力を持つクルーエルは、強すぎる己の力を使うのをためらっていた。しかし、彼女は級友たちの危機に直面し、ある選択を迫られる。そして、もうひとり。名詠式を学びながら、名詠士ならざる才能を秘めたエイダ。彼女もまた、事件を通じて自分の生い立ちと向き合うことになる…。自分の進むべき道を探す、召喚ファンタジー第2弾。
三日間だけだからとユキに拝み倒され、魂葬屋見習い・千早、同じく使い魔見習い・胡白の認定試験に駆り出された深波。日本語が限りなく怪しい千早(純和風の名前のくせに金髪の外国人!)と魂探知機能が限りなく不安な胡白につきあい、街中を右往左往するはめに。手伝いだけでも大変なのに、夜間禁足令が出ているはずの千早は、夜な夜なひとり街を彷徨い、訳ありの様子で…好調オカルト・ファンタジー第3弾。