世紀末ヨーロッパ随一の美貌を謳われ、世の讃美を一身に集めたオーストリア皇后エリザベト。だが、マイヤーリンクでの皇太子の情死、幼な馴染みのバイエルン王ルートヴィヒ二世の狂死、妹ゾフィの焼死と相次ぐ悲劇に、皇后は旅と乗馬への異様な執着で現実からの逃避をはかる。時代に先んじた自意識ゆえに宮廷生活を厭い、彷徨の果てに自らも異郷の地で凶刄に倒れた美しき皇妃の波爛の生涯。
前著『アイ・アム・ヒッピー』刊行から11年。著者が真っただ中にいたヒッピー・ムーブメントやカウンターカルチャー、その担い手たちは、世紀末をどのように生きたのか。新しい世紀をどのように迎えたか。“お祭りポン太”を自称する著者が、各地フリークスたちの活動・イベントに参加し、自身の過ぎ去った日々を重ねながら綴った。
「まあ、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」この3つの言葉でたいがいの苦難は乗り切っていける。自立した能天気な老人が増えれば、日本はどんなに楽しいだろうか。
初期評論から晩年の傑作『時間』まで、「近代=世紀末」の倦怠をぬけだして「生きる喜び」を優雅に語った吉田健一の根元的主題に迫る評論集成。
「あの人、どこかで見たことがあるような気がする…」桧山夕姫はその少年に不思議な懐かしさを感じていた。超能力を持つ少年少女を集めた私立光輪学園にやって来た転校生ー古雅銀嶺に。それもそのはず、銀嶺は十年前に生き別れた実の兄だったのだ。だが、透けるように白い肌と銀色の髪を持つ細身の美少年となって、再び目の前に現れた兄に対し、妙に異性を意識してしまう夕姫。そんな複雑な想いを秘めた再会も束の間、夕姫は突如学園に侵入してきた謎の一団に拉致されてしまった!銀嶺とクラスメイトたちは、様々な超能力を駆使して、夕姫救出へと向かう!いきなりMAXボルテージの学園サイキック・ノベルが、今、幕を開ける。
銀嶺たちが正月の休暇を楽しんでいるときに、そのニュースは入ってきた。アメリカで、“稀人”排斥を目的とする「対テロ抑止法案」が提出されたのだ。きっかけは、昨年のクリスマスに起きた“稀人”による在日米軍基地襲撃事件。事態を重く見たアメリカは、超能力者である“稀人”を危険視しはじめたのだ。日本でもアメリカと同様の法案が強行に可決されようとしていた。そして、これに反発する多数の“稀人”が、大規模な武力行使にでようとする。しかし、そんなことが実行されれば、“稀人”は完全に人類の敵とみなされてしまう!この危機を回避するため、銀嶺たちは死力を尽くして戦うことを決意する!超緊迫のサイキック・ノベル、第四弾。
京極夏彦や森博嗣以降の探偵小説は、キャラクター小説的な色合いを強く帯びてきている。「人物、性格」という意味のほかに、「文字、記号」という意味も持つ「キャラクター」という単語。このキーワードを頼りに、探偵小説に何が起こっているのか、そして探偵小説はどこへ向かおうとしているのかを真っ向から論じる。巽昌章、鷹城宏との往復書簡や、若手ミステリ作家の北山猛邦、辻村深月、米澤穂信との座談会も併せて収録。『探偵小説と二〇世紀精神』に続く画期的な評論集。
「あなたを待っていた」クルーエルの面影を宿した緋色の少女は、寂しげな瞳でカインツに告げた。「あなたは、予定運命から外れた存在。-その始まりは、いつだったと思う?」静かに、世界は変わりつつあった。灰色名詠の真精の襲撃後、体調を崩しがちになるクルーエル。彼女のそばに、何かの気配を感じるネイト。そして、名詠式に用いるセラフェノ音語に隠された秘密に気づくミラーたち…。緋色の少女は語り続ける。「わたしは、彼女が殻から抜け出すことを望み、見守るだけ。-そう、わたしの愛しいクルーエルを」世界が変わる時、ネイトとクルーエルも“変化”を求められるー。存在の意味を問う、召喚ファンタジー第4弾。
もう一度キミの隣に行きたい、この気持ちは本当。だからー迷わない。黎色の、限りなく孤独な世界に意識を捕われたまま、クルーエルは言い放つ。「わたしは、ネイトを信じてる」しかし、彼女を捕える空白名詠の真精・アマリリスは、執拗に言葉を重ねる。『あの子は、あなたに相応しくない。それにー何をもって、彼の“信じる”という約束を信じるの?』一方、トレミア・アカデミーでは教師たちが、意識不明のクルーエルを治療のためケルベルク研究所へ移送する決定を下す。その時、ネイトは…!?ただ一緒にいたかったー二人の願いが重なる時、世界に二色の詠が響きわたる。詠う召喚ファンタジー、第5弾。