不思議な風景を追体験する三篇の創作と、過酷な闘病の日々を描いたエッセイ『癌と死の狭間』を収録。
夢の中で気づかされるある一つの出来事をきっかけにして青乃唯が綴る、風と音と光が織りなす夢幻と現実の自由綺想曲。
謎の書物が惹き起こす激しいルサンチマンの渦。太平洋の荒波が牙をむく断崖の縁、男女の呪われた欲望が頂点に達する。注目作家が放つ、戦慄のサイコ・サスペンス。
歪んだ王宮に棲む皇子は菩薩と亀の貌をもつ。書下ろし本格耽美小説。
都会の片隅のユートピア-、人呼んで「駆け込み団地」。そこには忙しい時間の流れにはじき出され、優しさを必要とする人々が寄り添って暮らしていた。しかしある夜、現職大臣の妻が駆け込んできたことから思わぬ事件が…。スキャンダルの渦の中で錯綜する様々な愛と欲望、狂気と殺意のミステリー。
家庭内暴力や学校でのいじめなど、それぞれに心の傷を負った人々が集まって暮らす「駆け込み団地」。外部の干渉を拒否した安息の地に、現職大臣の妻僚子が逃げ込んできた。「団地」の所長牧田は僚子のかつての恋人。しかし牧田の現在の恋人である若葉も「団地」の住人だった。様々な思惑が交錯する中、事件は思わぬ方向に向かい…。愛つ欲望と殺意が織りなす、一夜のサスペンス。
フランシス・フェランはついに帰ってきた。“わが町”オールバニーへ。大リーガーとして鳴らしながら、生後数日のわが子を誤って殺し、出奔してから20年が過ぎていた。元スター歌手で同郷のヘレンは、共に放浪するうちに妻以上の存在になっていた。フランシスは息子の墓に詣で、家族との再会を果たすことによって、過去と対面し自己存在の意義を確かめようとする。死を予感するヘレンはそんな彼を見守りつづけるが…大恐慌下のニューヨーク州の州都オールバニーを舞台に、底辺の人生を浮彫りにする感動の人間ドラマ!ピューリツァー賞受賞。
忘れえぬ、愛すべき猫たち。ニューヨークの有名な動物病院で働く女性が、個性豊かな猫の患者たちとの思い出を、愛情と哀感をこめて綴った、優しく心あたたまる物語。
老上手になるための秘訣とは-黄昏族が、明るく愉しく生きるためのヒントを文学作品の中から探り出した、人生の指南書。
ワシントンの黄昏時、フリーカメラマンのマータ・ブレナンはフィアンセのトニーとともに、彼の友人が主催するカクテルパーティへと向かった。トニーからもらったダイヤの婚約指輪を見ながら思う。わたしは彼の妻としてちゃんとやっていけるのかしら?わたしには忘れられない人がいるというのに…。二年前、マータは突然、恋人のジョシュから別れを告げた。以来、彼女はがむしゃらに仕事に打ちこんできたが、心の傷はまだ癒えていない。そんなことを考えながら、彼女はパーティ会場に入っていった。と、そのとき、マータの目は部屋の向こうに立っている男のうしろ姿に釘づけになった。彼女の視線を感じたのか、男がふりむくージョシュ…。別れを告げられた恋人との思いがけない再会に、マータは激しいショックと不安に襲われた。
「ニューイングランドの気まぐれなお天気には参ってしまいますね」雨の降る四月のある日、病院の入口で濡れた体を拭きながらチェルシーはそこにたたずむ男性に何げなく声をかけた。二言三言交わしながらよく見ると、彼はただハンサムなだけでなく、とても強烈な魅力を放っている。もしかしたら、これが一目惚れというものかしら?チェルシーは今まで、こんなに心をかき乱されたことはなかった。しかし、その後再会したときの彼の態度はとても冷たかった。それは彼女が熱気球のパイロットであることと関係あるらしい…。
雇い主の死によって秘書の仕事を失ったロビンは、悲しみを癒すため、父の待つ海辺の町に戻ってきた。コーンウォールの美しい自然に囲まれた静かな入り江は、悲しいこともいやなこともなにもかも忘れさせてくれる。そこへ突然、見知らぬ男が現れた。旅行者ではないようだ。男は水着姿のロビンを眺めまわすと、ぶしつけに話しかけてきた。静寂をかき乱された彼女は、怒ってその場を逃げ出してしまう。だが、強引で自信にあふれた男の青い瞳には魔力が潜んでいたらしい。知らず知らず彼のことを考えていた自分に腹を立てながら、秋のおだやかな日射しのなかを、ローラは歩きつづけた。
遠い昔、はるか彼方の銀河で…新共和国元首レイア・オーガナは長い準備期間を経て、ようやく惑星ナム・コリオスのセティ・アシュガッドとの平和的会見に臨もうとしていたが、会見を目前に派遣艦隊に疫病が発生。多数の犠牲者を出した。“死の種”と判明した疫病は、自然発生したものか、会見反対派の陰謀か。一見何の価値もない原始的な惑星には銀河最大の合成ドロイド・メーカー=ロロナー社の欲望をそそる秘密が隠されていた!ドラッグをかがされ、幽閉されたレイアを救うべく、偽造ホロに惑わされる共和国首脳部をよそに、ルークはフォースに従って単身ナム・コリオスに向かう。カリスタの思い出を胸に…。