本書の特色はつぎの諸点にある。微小時間内において、要素やシステムに流入および流出するエネルギーの平衡とか、物質の平衡という数学モデルの出発点を考究し、微分方程式や偏微分方程式によって数学モデルを表現できる基本原理を示し、対象は広く考え、力学、電気・磁気、熱、流体、化学反応などの工学上の基礎的原理を念頭におき、その際、変数やパラメータの内容をSI単位を用いて表すと、数式の物理的意味が対象の種々の分野を超越してただちに理解できることを示す。
本書は原著者S.V.パタンカーの豊富な経験をもとに、熱と流れの数値計算法に関する講義を学部のカリキュラムに組み込むことを目的に、対象を熱伝導とそれに相似の現象に限定した数値計算法について執筆。一般的な数値計算法について述べたものではなく、原著者が開発した手法の、基礎から具体的な適用例までを系統的に解説したのが主な特長である。
本書は、“局所指数定理(local index theorem)”の証明を紹介している。全体の証明の枠組みはキュレン(Quillen)の哲学、「ディラック作用素は接続の理論の量子化である」という原理によっている。指数定理の証明は多くの人々によって簡略化の努力がなされてきた。とくに理論物理との関連からの新しい見方によって見通しがよくなった面はあるが、証明の全体は決して簡単にはなってはいない。そのために初学者は、ときに全体として何をやっているのかわからなくなってしまう危険性がおおいにありうる。そこで指数定理の概略と証明の基本的な考え方のあらましを書いた。
本書は、全体を通じて、薬物(比較的低分子量の有機化合物や金属錯体など)と生体との相互作用を取り扱うのに有効な物理化学的原理や考え方を実例をあげながら解説することに重点を置いている。
本書では、自己相似解とよばれる特殊解を通じて、主として拡散型非線形偏微分方程式の解の挙動を調べる方法を紹介する。とくにNavier-Stokes(ナヴィエ・ストークス)方程式をはじめ、各種の現象を記述する方程式を例に解説する。この方法は繰りこみ群的方法の一種とも解釈されるもので、非線形偏微分方程式の漸近解析において、近年強力な手法となってきている。漸近解析の形式的側面は、応用分野で広く用いられているが、本書はその数学的側面を厳密に述べることを目的とした。自己相似解とはおおざっぱにいうと、方程式を変えないスケール変換に対して、不変な解のことをいう。本書は、自己相似解が、一般の解のある典型的挙動を、漸近的に近似していることの数学的証明を、代表的な方程式について与えることを目指している。
物性論のための多体の量子論、すなわち主としてグリーン関数を用いた場の量子論の凝縮系への応用を平易に解説した教科書。絶対零度の形式から有限温度の松原形式、非平衡を扱うKeldysh形式、超伝導を扱う南部ーGor’kov形式までの解説を含む。量子ポイントコンタクトや超伝導接合などの電子デバイス的な応用例を取り上げながら、場の量子論の手法の基本事項を新しい視点を加味して要領よくまとめてある。電子物性論に携わる大学院生や研究者のためのテキストとして、またメソスコピックデバイスや超伝導素子の研究者のための参考書として最適の書。
本書は、はじめて生体計測を学習しようとする理工学系、医学系、保健学科系の大学生、大学院生を対象にして、なるべく半期で生体計測についての基礎知識が把握できるよう教科書サイズとして簡潔にまとめたものである。
本書は、地表面に近い大気の科学・気象学について述べたものである。新しい諸問題への応用は、基本的なことがらが理解できて可能となるので、個々の内容は詳しく説明し、取り上げる項目数は少なめにした。また、調査・観測計画をたてる際に定量的な見積もりができるように、理論的な考察の部分では最低限の数式と、諸パラメータの数値・実験式も示した。文中に〔参考〕とした部分は、やや専門的な詳細を知りたい読者のために設けたものである。
本書は、現代における化学工学の基本骨格の全貌をコンパクトに纏めた入門書である。化学工学の基礎、物質・エネルギー収支、流動と伝熱、物質の分離・精製(分離の基礎、ガス吸収、蒸留、抽出、吸着、膜分離、乾燥、晶析)、粉粒体の取扱い、反応操作、プロセス制御ならびに付録からなっている。
人間が生活をしている地表付近では、どのような法則が気象を支配しているのであろうか。人間活動が活発になってきて地表面を人工的に変えたことがどのように気象に影響を与えているのであろうか。本書は特にこの2点に注目して現在までに得られた知識をまとめた。
本書は、総合外来初診を担当する医師、特に外来を担当して間もない研修医やレジデントが、後で専門医や上級医に怒られないように診察ができるようガイドするための手引書である。本書がカバーしている症状をとりあえずマスターすれば、多くの外来患者さんの期待にある程度応えることができる、と割り切っていただきたい。そのために、既存の外来調査統計などで頻度の多い、総合外来でしばしば遭遇すると思われる症状を中心に項目を選んだ。
現代の界面化学・コロイド化学の基礎から応用までをコンパクトにまとめたテキスト。基礎概念から最先端の測定法までを取り上げて、全体を把握しやすい構成とし、さらに役に立つマニュアル的要素も取り入れているので、初学者から専門家まで、幅広い需要に応えることのできる一冊。
本巻では、エピタキシャル成長の熱力学、結晶成長のカイネティクス、基板の表面状態とエピタキシャル成長、ヘテロエピタキシャル成長といった、エピタキシャル成長にとって最も基本となり重要なテーマを取り上げ解説している。成長方法は、最も基本となる液相エピタキシャル成長、気相エピタキシャル成長、分子線エピタキシャル成長の3方法を取り上げた。