何度撮っても誰が撮っても妻の写真が酷く自分の抱くイメージとかけ離れている理由について。
「『自分の若いときの妻を喜べ』っていう言葉が聖書にあるじゃん?
俺って実は神に近づきつつあって、若いときのはてこさんを見てるのかな」
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何度撮っても誰が撮っても妻の写真が酷く自分の抱くイメージとかけ離れている理由について。
「『自分の若いときの妻を喜べ』っていう言葉が聖書にあるじゃん?
俺って実は神に近づきつつあって、若いときのはてこさんを見てるのかな」
仕事用の電話に出たら、尻ポケットにいれた個人携帯からだった。
「初めて自分の尻と会話した」
「なんて言ってた?」
「俺のこと無視してた」
「へえ」
「『しりません』って!ックックック・・・」
加齢によるid:Akimbo化が止まらない。
妻が化粧してカメラマンに撮って貰った写真が気に入らない。
「なんだこりゃ。ひでえな」
「はてこをきれいに撮るのはプロでも難しいってことだよ」
「こんなにきれいなのに、なぜ写真に写らないんだ」
「はてこはドブネズミなんだよ」
「え」
「写真には写らない美しさがあるんだよ」
「・・・」
なぜ否定しない。
「ちゃーん らら ららららら らー
ちゃ~らら~ん らーら ららららー ちゃーん らららららー (前奏終わり)
らーらら ららーらーら ららーらーら ららーら
ららーらーら ららーらーら ららー ららららー ちゃららら
らーららーら らーららーら らん らん らん
・・・あれ、おかしいな?」
(おーれがいたーんじゃおよーめーにゃいけーぬ
わかーあっちゃいるーんーだ いもーおぉとよー
ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん)
「男はつらいよ」のオープニングを鼻歌で歌っていたが、途中から童謡「雨降り」になっていた。
お隣のおじいちゃんが
「バイバーイ」
「バイバーイ」
と誰かに甘く繰り返すのをベランダ越しに聞いて
「バイバイ ありがとう さーよなら
愛しい初孫よー
あんたちょっとやんちゃだったねー
ジジイはーもう疲れたー」
と、静かに歌っていた。
「なんだっけ、飛べないブタはポルコ・ロッソで、歌うのは…」
「ジーナ?」
「違う」
ポール・ポッツの話でした。
一生懸命観てるドラマは内容や役者目当てではなく主題歌が家入レオだから、という理由
深刻な家庭問題で嫁がキレている。
「キレッキレッキレッ~ キレてるはてこ~」
↑森永チョコボールCMソングのメロディーで
「ちょっと聞いてんの」
「クエックエックエッ~ おびえるもちお~」
↑パソコンデスクの椅子をくーるくる回しながら
この調子で12年やってきました。
運転しながら仕事の段取りを確認しながらひとりごとをいうもちお。
「よし、そうしよう。それで一つ気になることが片付くからな」
「パーッと片付くね!」
「パーッっと」
「パパーッっと!」
「パ~ットリシア~」
「・・・だれ?」
「馬」
「何色なの」
「白だよ。パトリシアなんだから。パーティーを乗せてるんだよ」
「へえ」
「パーティーは8人だけどかわいそうだから4人は歩き」
淡々と真顔でドラクエの話題に移行。
「これから帰る。帰ったら出かけよう」
「晩ご飯どうするの?」
「ああ、忘れちょった」
もちおは空腹の自覚が希薄な男です。
妻の大事なこくだランドタオルをすっかり私物化し、現場で愛用している。
「それはてこのタオルでしょ!」
「ごめん、ごめん。もう止める」
色が抜けるまで使って何を言うか。
クッションシートを見て喜んでいる。
「もちおはピーナッツメンバーの中で、誰が自分に似てると思った?」
「チャーリー・ブラウンだね」
「ふーん」
「はてこさんは?」
「ルーシー」
「みんな、子どもながらに自分が何者かをわかっているものなんだね」
「・・・どういう意味?」
ボイン!
「もちおは面白いねえ」
「うむ。ATM機能だけではない」
「はてこの機能は?」
「かわいい」
「あ?」
「かわいいと役に立たなくても欲しくなったりするよな」
「」
主婦業とは何か。
「今日早かったね」
「結婚記念日だって言って早く返してもらった」
「いつ思い出したの?」
「覚えてたよ」
「でもご飯食べて進撃の巨人読んでたよね」
「うん」
「早く帰るための出汁に使ったのか」
「違うよ。もう12年目か・・・って感慨にふけってたよ」
「でも進撃の巨人読んでたよね」
「心の中で祝ってたよ」
「まるで…書斎に神が舞い降りたかのようだね…!」
パソコンデスク用の椅子を買ったのがとってもうれしいらしい。
9時ごろ出発したけど、高速通行止め+山道土砂崩れで、さっき会社に着いたそうな
「キーング・コーング カーンコーン」だった模様。
「実母ちゃんの部屋ね、またラップ音がするんだって」
「へえ」
「魔除けの砂置いてから音しなくなったって言ってたのに」
「Hey! 俺たちはここにいる!Hey! ここでみんなで暮らしてる!you!」
「え?」
「ラップ音」
うるさそう。
「実家から借りた映画観ようか」
「うん。『キング・コング』観ようか」
「『キング・コング』悲しい映画じゃない?」
「あーそうだね…
キング・コング ビルに登った
キング・コング 美女を守った
かわいそうなキング・コング
キーンコーン・カーンコーン」
なに?谷川俊太郎?