だが自信がなかった、もう一回昏倒したらあれだからあれにされてしまうのではないか。三郎は首をふって堪えようとした。ぐいっと振ったとき、「あ、おれに振れる首はなかった」と気がついた。くしゅっという嫌な音がした。
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連続はてな小説のことを語る
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路上へ放り出された三郎が、ふと向かいの建物の壁面を見上げると、そこにはあの松葉ガニが巨大な姿になってはさみを振り上げていたのであった。
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三郎母は三郎の変わり果てた銀色の顔を見て、内心安堵した
これならば、自分と三郎の関係に料理人が気づく恐れはない
一方の三郎も今は混乱の極みにおり、料理人の顔が本来の自分の顔そっくりだということに気づく余裕はない
この設定はまだまだ寝かせておく必要があるのだ
「フォーにバル…もとい海老っぽいものは不要。お前はスタンプラリーにお行きなさい。」
三郎母は三郎をいけすから路上へと放り出した
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ゾンビエビ娘(菜々緒似)は私の口元をすっと指でなぞると立ち上がり、白衣に身を包んだ修造の傍らに寄り添った
私は海老の鋏と化した手で自分の唇を拭った
金属の味がした
(これはいわゆるマッドサイエンティストと、ゾンビ的不死要素を備えたキメラ生物なのか…)
口を開いても「ふぉっふぉっふぉっ……」しか言葉の出ない三郎は、心の中でつぶやいた
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これは…ゾンビエビをエビセンにして食べたゾンビ分の経口摂取によるゾンビ感染なのか?
さらにゾンビエビ出汁海鮮汁の追いゾンビ分+ゾンビエビ娘(菜々緒似)の膝枕という接触感染なのか?
三郎は海老娘に問いただそうと、再び口を開いた
しかし
「ふぉっふぉっふぉっ……」
あぁ!俺の声が!俺の声が!
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ふぉっふぉっふぉっ……
ま、まさか!
エコーのかかった聞き覚えのあるあの声は……。
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頬に温かい湿気を感じて三郎は目を覚ました
これは…出汁の匂い…海鮮出汁の、そして味噌の匂い
「お目覚めですか?」
三郎は、菜々緒(auの乙姫ver.)をちょっと小柄にしたような女性に膝枕され、口元へ潮汁を運ばれていた
「う、美しい…しかし…」
その女性には触角があった
そして下半身は海老であった
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「松葉蟹は……?」
三郎は尋ねた。すると伊勢海老は答える。
「松葉蟹?なんのことですか?」
三郎はもしや、と思う。
「では、スタイリーは?」
伊勢海老は笑う。
「スタイリー?スタイリーって誰です?」
そして三郎は確信する。
違う、こいつはあの伊勢海老じゃない!
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何故?お前は死んだはず…
三郎の疑問に、今や半透明の身体を剥がされた赤い殻の上に並べるばかりの姿となった伊勢エビが答えた
「私は焼かれる前の伊勢エビなのです」
伊勢エビは焼かれて死んだ
しかし死ぬ前の伊勢エビは時空を超えて、この居酒屋のいけすに現れた
そして、お造りになった今
再び時空を超えようとしている
「また、あなたに出会うために」
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巨大カニカマえびせんを食べてみた。おいしかった。みんな無言になった。もぐもぐしながら三郎は泣いた。彼がはらはらと泣くのを見るとみんなも悲しくなった。それで誰ともなく、じゃ、一杯やりに行きますかということになった。
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そこへ、揃いのジャケットに身を包んだ男女数名がつかつかと歩み寄った
手際よく巨大カニカマえびせんの直径、面積、重量を計測していく
互いに目配せし、頷いたかと思うと、片手を上げ、宣言した
「ギネス記録更新を認めます」
秘密結社°F808の手に恭しく認定証が授与された
「なんてシステマチックなんだ!!」三郎は驚愕した
なんとかいう廃棄物業者が現れるのも時間の問題だ
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焚シー坑フードが松葉蟹と伊勢海老を埋めようとしたその時、三郎は不憫に思った。
食べられもせず、ただ焼かれて埋められる松葉蟹と伊勢海老のことを。
土がかけられたその時、三郎は地鳴りを聞く。
そこには巨大化した松葉蟹と伊勢海老が!
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凄まじい炎の向こうに防火服に身を包んだ人影が見えた
焚シー坑フード
美味を悪徳と考える秘密結社、河岸八百八町之会だ
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松葉蟹と伊勢海老はにわかに光をおびはじめる。三郎は目をこするが、その光はだんだんと強くなる。
嫌な予感がする……
無意識に三郎は呟いていた。
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三人の視線が交錯するところに磁場が生じた。伊勢海老は震えた。松葉蟹は泣いた。三郎は謝罪した。
しかし、
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三郎は修造日めくりをがっと掴んでばりっとめくった
もう今日が何月何日だかわからない
いいのだ
今は目の前のシーフードの諍いを収めることが何よりも大切だ
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ソウ……そうだ!
三郎は唐突に思い出した。
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輝く、
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三郎は大王具足虫を画像検索したのち、後悔した。
そして、
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「ごめんなんしてなあ」と松葉蟹は言った。