新しい薬の副作用で髪の毛がごっそり抜け始めた。
「カツラ買う?」
「誰が被るか!ハゲの名折れだ」
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新しい薬の副作用で髪の毛がごっそり抜け始めた。
「カツラ買う?」
「誰が被るか!ハゲの名折れだ」
「餅のぬか漬け、餅もぬか床も美味しくなったよ!」
「生き別れになった糠と米が再び巡りあえたんだな。『米よ、おまえから引き剥がされたあの日から、ずっとおまえを待っていた』『糠よ、黄色い糠よ、おまえとはもう会えないかと思った。私があまりに白いからおまえは去っていったのかと思っていた』」
感動のフィナーレ。
「再発~ いま君は人生の大きな大きなステージに~立~ち~
遥かな夢もいまはすべて消え失せた き~みに~」
「おめでたい歌なんだよ!『大きな大きな舞台に立ち』だよ!」
「ステージだから舞台であってる」
「『遥か長い道のりを歩き始めた君に幸せあれ』っていうんだよ!」
「来世だな」
やけくそで乾杯の替え歌をする。
「お店で見たよりいいものが半額以下で売っていたよ」
「じゃあ浮いたお金で色々買えるな」
隙あらば浪費しようとする。
「保険金が入ったからお金返す」
家で支払った医療費に充てるための保険金を個人的な借金の返済に充てようとするな。
もちおに会いたい人は早めにお願いします。
49kgになっちゃった。
一昨年の腹腔鏡検査手術から3度目のお誕生日。
「聖子ちゃん、三度目の結婚生活どんな感じかな。家事とかするのかな」
「家事なんか天使がやるに決まってんだろ。聖子ちゃんなんだから」
冗談もいっているんですけど、オンラインで公開したとどこかでバレたら身元が危ないようなネタが多いのでやめておきます。
「体重が52kgになった」
まだわたしより7kg多いねといったらまた怒るので黙って心配そうにしておく。
心配してもいいこと何にもないからな。
※一進一退ですがいまは小康状態です。
「具合が悪くて痛くて苦しいんでしょ?
人を罵ってないで『痛いよ、苦しいよ、つらいよ』っていいなよ」
「痛いよ、つらいよ、苦しいよ、もうやだ」
気がすんだらしくすやすや眠りました。
なお薬を飲んでいない。
何遍いっても飲まない。
妻のためにあれこれ進んで世話を買って出るも思ったほど感激されず
無理が祟って体調がふるわないので今度は自分の番だと世話を期待するも
「もちおの具合が悪かったらわたしが自動的に元気が出るわけじゃない」
と返され、息の続く限り罵倒せんと固く決意
我々の15年が無駄ではなかったと思うのは、こういう揉め事のあとうやむやに和解するという術を身に着けたことです。
退院してきたが超不機嫌。
妻の緊張感と緊急感を高めたいのかやることなすこと文句を言うが
「ああそう、じゃあもう何をしても無駄だから首でも吊りましょうか」
という気分になるので止めてもらいたい。
これを嫁や子供にやる人もいるのだろうな。
妻と大喧嘩して不貞腐れている。
「ガン患者は嫌われるんだ。手が掛かるから」
「ガンになる前の方がよっぽど喧嘩してたでしょ」
「そうだっけ」
「離婚するってなんべんもいわれたでしょ」
「そうだった」
過酷な新婚時代と苛烈な結婚生活がいまの幸せを引き立てている。
「約束しただろ!俺は約束したことは守りたいの!」
「そんな約束した?」
「したよ!」
お客様に確認。
「…『え?なんで?』っていってるよ」
「…なら君たちが正しいんでしょ。ニ対一。多数決の抑圧だ。
俺なんかアリンコみたいなものだな。意味もなく踏み潰されて」
丸めた背中を向けていじけたってダメ。
来客があり、朝からテンパって妻に怒鳴り散らしている。
「バカ!」
「なんでそんなこというの」
「おまえが俺を罵るからだ!」
「バカっていわれたのわたしでしょう?」
「その前だよ!バカ!」
「バカっていったら千円貰うって約束」
「あ」
「今朝もう一万円くらい貰える」
「おまえもいっただろ」
「言ってないし、わたしは千円あげるともいってない。それに年末に貸した10万円返してもらってない」
「そうだね」
「10万円借りてる人によくバカとかいうね」
「10万円貸して言いたい放題かよ」
「なんだって?」
「ハイハイ、私のかわいい金貸しさん」
十一で利子つけますかね。
買い物にいって料理をして洗濯して妻にお茶を淹れて買ってきたお菓子を出してくれたりする。
雨が降るどころではない。大寒波やむなし。