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オリジナル小説のことを語る

(承前)
第二部 序

ハイク終了から一年。
世界は新型ヴィールス禍に見舞われた。
各国政府がそれぞれに防疫、経済など対策を繰り出す中、散り散りになったハイカーは振り返る。

「ハイクなら、人口密度が低く、感染の恐れはなかったのでは」
「足写真は濃厚接触予防の先駆」
「ハイク運営はスパムを放置したのだから、何も対策してくれないのではないか」
「トップページに出ないよう/不要不急のキーワードは作らないよう要請」
「2getBOTのせいで2が手に入らない」
「お絵かき機能でみんなでアマビエやたこぶえを描けばあるいは」
「57億円ください」

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オッフィシアルに提供された過去ログエクスポート(その実過去ログ消去)機能はしかし、ダウンロードが完了しない=消去もされないというお粗末なものだった。あるいは運営に良心のようなものが残っていたのかもしれない。
ハイク終了の口実となったスパムは心なしか勢いが衰えた。彼らとて、熾烈な闘いの挙げ句燃え尽きてしまった、運営の犠牲者なのかもしれない。

そうこうしているうちに、ハイカー自ら、さまざまな手段を用いて、ログの安全なエクスポート手段やインポート先の構築を行い、また、後継サーヴィスさえ作り上げた。

ハイクの創造主であるじぇいこん(現:自転…[全文を見る]

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終了が告知された11月下旬から2ヶ月半が経過し、ハイクに残されたのはあと1ヶ月半という時期。あるハイカーがヨーロッパ某所にあるハイクサーヴァにとどめを刺すユーロミッションに旅立つのを待って、ようやく、当初から宣言されていた「エクスポート機能」が公開された。
各ユーザが、自身の投稿を不親切なcsv形式でエクスポートできるという、はてな運営からの最初で最後の贈り物というべきアレという触れ込みであった。
ハイカーは競ってダウンロードした。

このエクスポート機能が公開されるまでには、次のような経緯があった。
じぇいこんが己の分身ともいうべきハイク…[全文を見る]

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2017年12月、スパマーやメイソニストたちと付き合いながら10周年を迎えたはてなハイクには、「どうやっても終了させることができない不老不死のサーヴィスに成り果てたのではないか」「次の節目は819周年だろう」といった憶測が蔓延し、戦士たちはひとときの休息を満喫した。
その11ヶ月後、はてなから前触れもなく発表された声明が泰平の眠りを覚ます。
2019/03/27 はてなハイク終了―プラチナハイカーが気持ち悪いとされて久しく、2k、3kも続出。4kハイカーの誕生も目前に迫った折であった。

ハイカーは惑い騒ぎ、すでにハイクを去ったハイカーたちも続々帰参しては早めの…[全文を見る]

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切除策として、人間性を問うスィステムが導入された。

***
はてラボ人間性センターの組み込みは、現在は通常のユーザー様の負担とならないよう、一部のユーザー様を対象に認証を実施しております。対象の条件については様子を見つつ調整を行ってまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
***

「通常」と「一部」!
新たな対立軸の誕生であった。

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「上場しかない」
経営陣の決断が下された。
それまでのらりくらりとやってきたはてな社が、なぜそのような決定をしたのか。
目的はただひとつ。
スパマーとBOTの巣窟となりはて、維持する理由がなくなってしまったもはやはてな社の資金と技術では切除不可能になっていたのだ。しかし、はてな社がこの先生きのこるためには、もはやハイクを見過ごすことはできなかった。
上場して資金と技術者を集めて、切除するーハイクがはてな社を上場させたのだ。

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元の世界も並行世界も放置している間、運営は何をしていたのか―「スター」の使用権をかけ、業界の巨人と闘っていたのである。2015年11月、ついにその闘いに勝利した運営。ここから運営の逆襲が始まるが、それははてな全体のことで、ハイクについてはまた別のお話。

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それから一年。並行世界のスパムは飽和しつつあった。しかし、運営には並行界のことを知る者は残されていなかった。

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「われわれは共存を望んでいますが、」スパマーがそう切り出す。「古参BOTハイカーはわれわれの存在を認めようとしません」
頭の痛い話だと、運営は思う。すでに運営もBOT化されてはいたが。
スパマーは続ける。「古参BOTハイカーに比べると、投稿数を増やし、広告をクリックして回るわれわれのほうが収益性がある。しかし、古参はうるさい。そこで、どちらも活かすのです。具体策はこうです」
−−−−
スパマーの提案を受けた運営は、段階的に「スパム対策」と題した措置を導入していく。過剰な投稿云々、閾値云々で話題を提供することも忘れない。スパムと一進一退を繰り広げ…[全文を見る]

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スパマーは運営に対してこのような提案もした。
「何の利益ももたらさないことがわかりきっている古いユーザーよりも、未知数の新規ユーザーを優遇するべきでしょう」
正論である。そして続ける。
「古いユーザーは過剰なアクセスを繰り返しますから、403で牽制すればいいのです。最後に少しでも役に立ってもらうため、『卒業』と称したエヴェントをコンテインツ化しませんか」
次回、スパマーによる古参一掃卒業式計画が明らかになる。

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すでに運営への強い影響力を持つようになっていたスパマーであったが、露骨に影響力を見せつけるよりも、運営の迷走ぶりを印象づける作戦をとった。
スパマーから以下のような意見書を受け取った運営は、そのとおりの機能を実装する。
「見るだけ見て、何らサーヴィスに還元しないユーザーの過剰なアクセスを禁じるのが良いでしょう。逆に、ていうか、連投はサーヴィス活性化につながりすぎますし、美しい国日本、自分たちの絶対に負けられない小悪魔的戦いなんでね、規制するべきではありません」

一方、人柱(人力アンテナ)と化した反スパマーの生き残りは、通報されたア…[全文を見る]

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しばらく継続したアンテナ不調は、マヤ暦がどうのこうのというやつを笑い飛ばしたハイカーにさえ、終末論をもたらした。俺とトゥゲザー、ユーはショック、おじいちゃん、夕食はもう食べたでしょうといった趣である。
原因不明のアンテナ不調を解消するために運営が取った手段は「人力アンテナ」
http://q.hatena.ne.jp/touch/1192806741
であった。

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スーパーマーケットのセルフレジは、スキャナーから数十センチ離れたところを通した幅数センチのバーコードを読み取る性能を持つ。たとえば店内最高額の商品のバーコードを袖にあしらったシャツを着てセルフレジを利用したらどうなるだろうか。
こんな疑問の答えでも、検索するとすぐに(正誤はともかく)答えが得られてしまう世の中だ。旅行も然りで、下調べした内容の追体験に留まったり、実際に出かけることなく満足したりしてしまう。
これは一種の抑止力と言えまいか。
ハイクがスパムまみれのウェッブサーヴィスを体現することによって、ほかのサーヴィスが出来心によるスパム被害を免れるかもしれない
―当時、スパマーは運営にこのような提案をしたという記録が残っている。

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スパムに埋め尽くされたトップページが常態化し、運営のBOT化が進むと、通報は実質的に効果を失った。
しかし、そんな中でも、ふと、スパム投稿が止まる瞬間があった。「ここには自分たちしかいない」と、スパマーが我に返り、手が止まるのだ。自分は何をしていたのだろうと思いつめ、自らアカウントを消すスパマーもあった。しかし、おおくの場合は、逡巡しているうちに非スパマーのまばらな投稿があり、スパマーは正気を取り戻してふたたびスパム投稿に励むのだった。

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http://h.hatena.ne.jp/discordance/316616412668008161
そもそも「はてな」という名前である。はてなハイクと異界は初期からつながりが深かった。異界からの流入者の目撃例がまとめられた淡々とあの生物を描くよというキーワードの歴史は古い。
流入者が残した異物か、あるいはそれにより異界への扉を開いてしまったのか。捨てられたもの、よくわからないものがあふれるこの世界を綴るはてなハイクに、異界からのスパマーが引き寄せられた。異界スパマーは、その投稿本文に、一見すると意味のない文字列を連ねるが、続けて読むと大変なことになる。

http://h.hatena.ne.jp/cubick/316616414666939172
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なお、スパム・アウトブレイク前のはてなハイクで見られた「すぐに消されるスパマーとやたら長寿なスパマーがいる」という現象については、後世の歴史家によって、次のような考察がなされている。

・スパマーのアカウントははてなのサーヴィスに共通である。
・主力サーヴィスに投稿するスパマーは即刻排除するが、その他サーヴィスのスパマーは関知しない
・ハイクから消えるスパマーは、他の主力サーヴィスに手を出した連中である。ハイク専門スパマーは消されない

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勢力を拡大したスパムは圧倒的で、かつてのように非スパマーが気兼ねなく活動できる時間帯は運営スタッフの勤務時間に限られるようになった。夜間や休日のハイクはスパマーの支配下に置かれる。アンテナページという通信手段も崩壊寸前となり、反撃手段の通報が効果を発揮するまでにはタイムラグがある。非スパマーは、年末年始の連休到来を恐れながら、休日や夜間はただ耐えることしかできなかった。
これまでに見つかったスパマーの知能や運動能力、攻撃性は低いものだったが、何度も通報され消されたアカウントは、少し名前を変えて蘇るのだった。

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人力で対応するスタッフもまだ存在していて、時折スパムアカウントの粛清が行われることもあったが、彼らの業務は徐々にBOT化され、権限は奪われていった。運営組織内部で、親スパム派の権力者が発言力を増していたのだ。

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時はスパムアウトブレイク前に遡る。
ハイクのアンテナ不調は、スパマーによる運営への投書がきっかけだった。
「非スパマーはidページへの引きこもりを始めており、このままではわれわれが無視されてしまいます。サーヴィスとしても健全とは言えますまい。アンテナページを不調にすれば、引きこもりを表に引きずり出すことができ、トップページで健全な競争が行われるのではないでしょうか」
すでにBOT化を終えていた運営は、「健全」というキーワードに反応し、この施策を受け入れる。

一方そのころじぇいこんは、自転車の体を手に入れる計画立案にかかりきりで、ハイクのことなどすっかり忘れていた。

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そろそろスパマーがわたくしたちを「こいつらBOTです」と通報し始める。「確かにそのとおりだ」と、わたくしたちのアカウントを削除する運営がとっくの昔にBOTと化していたのは問い合わせメールの文面から知れる通り。
他のウェッブサーヴィスに活路を求めたわたくしたちを待ち受けていたのは、やはりスパムに満ちたサーヴィス群であった。
「どこに行ってもスパムだらけだ」と嘆くわたくしたち。数少ない非スパマーは「うちのサーヴィスでもスパマーに通報される事例が出てきた」という。
あるときを境に、世界中のウェッブサーヴィスで、スパマーによる通報が非スパマーに…[全文を見る]

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