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Tips:「返辞」をするときに、「話題」を変えることもできる。
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「ぼくは…」彼の車にはCDの聴けるステレオがあったが、いつもはCDを入れていなかった。一人で運転するときは仕事をし、電話をし、口述をしていた。疲れていて目を覚ましていたいときにはラジオをかけた。しかし、昨日のコンサートの後で、彼はバッハのモテットを録音したCDを一枚買っていた。彼はそれをかけた。
ふたたび、音楽の甘美さが彼をとらえた。いまではテクストも部分的に聞きとれた。「あなたはわたしのもの、わたしはあなたにすがり、わたしの光であるあなたをけっして心から去らせません」ーーそんな言葉を口にしたことはなかったが、妻を愛し、妻も自分を愛し…[全文を見る]

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【10月20日】
「かなしくて、かなしくて、とてもやりきれない」と30年以上前に歌ったアーティストが死んだ。自殺である。
『やりたいことがもう何もない』と遺書だか、知人に宛てた手紙だかにあったそうだ。
鬱だったのだろう。それは分かる。とてもよく分かるのだ。
私だってこれまでの人生で、鬱状態に陥ったことがなかったわけじゃない。死を身近に感じたことだってある。しかし、それでもなんとかやってきた。
亡くなったアーティストは62歳で、若い頃からずっと世の中に知られた存在だった。だからこそ、自らのあり方を常に自分に問いかけざるを得なかったのだろう。そ…[全文を見る]

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口ではどんなに立派なことを言っている人でも、実際にはなにもそれほど立派なことばかりしているわけではない。医者として、彼は、高潔で、感受性も強く、志操堅固な人が、つねにどんなことをしているかよく知っている。彼らはドアの外で立ち聞きしたり、人の手紙を開封したり、人の秘密をこっそり嗅ぎまわったりしているーーそういう行為を一瞬たりとも是としているわけではなく、人間的苦悩のため必要やむを得ず、絶望的な気持ちに追いやられるためだ。
哀れな人間たち、哀れな悩める人間たち。ジョン・クリストウは人間の苦悩というものをよく知っていた。人間の弱さに対してはそれほど同情は持っていなかったが、苦悩に対しては理解していた。なぜならば、苦悩する人間は強い人間であることを知っていたからである。

ーーA.クリスティ「ホロー荘の殺人」

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わたしは、皇后のことばを読み、それから、そこで取り上げられた人たちのことばを、懐かしく振り返り、彼らのことばには一つの大きな特徴があるように思った。彼らは、「社会の問題」を「自分の問題」として考え、そして、それを「自分のことば」で伝えることができる人たちだった。そして、そのようなことばだけが、遠くまで届くのである。
(高橋源一郎)
*「彼ら」: 花森安治・高野悦子・外間守善

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これは、あなたと付き合っていたころに最後まで話さなかった、あの話だ。…
(中略)
…そのうちに、本当だったことがだんだんと虚しく思えてきた。本当のことが空っぽに感じられるっていうことは、たぶんあなたとはもう長くはないんだろうとそのときわかった。

ミランダ・ジュライ「水泳チーム」

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人間は複雑な生き物だ。
ウソは「幻想」であり、甘い香りがする。
どんな幻想も抱いていない、どんな香りにも酔っていない状況は、むしろ人間を底なしの不安に陥れるのかもしれない。

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運命の神の考えるものだ。
人間は人間らしく働けばそれで結構だ。
(「虞美人草」漱石)

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基礎的な社会にだけ生きて国家のことは知らないよ、ということはできない。国民国家の中に僕らは仮住まいしていて、大家には義理がありますから。だけど、それはあくまでも義理。義理は果たさねばならないが、本心は別のところに置いておきたいものです。
(渡辺京二)

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人は何のために生きるのかと考えると、何か大きな存在、意義あるものにつながりたくなります。ただ、それは下手するとナチズムや共産主義のように、ある大義のために人間を犠牲にしてしまう危険がある。人間の命を燃料にして前に進むものはいけません。その失敗は、歴史がすでに証明しています。
(渡辺京二)

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和解のために大事な点は、相手の痛みを認識していることを示し、「我々はあなたを傷つけた。我々は自国民にそのことを伝えている。将来二度とこうしたことを起こさないと約束する」ということなのです
ジェニファー・リンド

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ソムリエが幸福な職業かどうかは知らないが、僕は正直なところ、あまりなりたいと思ったことはない。なぜなら、1杯のワインを飲んで、そのワインが「ブルーベリーの風味をたたえ、その奥にかすかなレザーの香りがする」といったような分析をしなければいけないからだ。
素晴らしい女性と会って、ついキスしてしまいたくなったり、抱きしめてしまいたくなったりする気持ちを抑えて、「彼女の左目のしわが魅力的だ」とか、「その下にある、かすかなとび色のほくろは最高だ」とかいうのは、結構大変なことだと思う。
____岡村伸彦「勝手ワイン。」p. 15

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何度も言うが、ワインを分析するのはやめよう。ワイングラスを試薬瓶代わりに使うのはやめよう。あんまりうるさいことをいうと、かえってワインの最高のエッセンスは逃げていってしまう。
____岡村伸彦「勝手ワイン。」p. 35

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私の知っているかぎり、それぞれの分野で成功している人は、すべてにおいて魅力的な人であることが多いものです。
そして、魅力的な人は、いつもまわりの人たちをどう愛してあげて、どういい気分にしてあげようかと考えている人といってもいいでしょう。つまり、自分の外の状況をよく観察しているわけです。
いつも愛されてきたというのは、けっして悪いことではありませんが、下手をするとわがままな人になってしまいます。それは、いつも自分のことばかり見ている人です。
人は、自分が愛されたようにしか人を愛することができません。ゆとり世代の人は人からの愛を十二分…[全文を見る]

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日本国憲法には政教分離の原則がある。国は特定の宗教団体に肩入れしてはならない。だから、首相は公的立場で参拝してはならないのだ。なぜ「内閣総理大臣」の肩書入りの供花をするのか、理解に苦しむ。
首相として参拝することを重視しているようだが、そこには戦前の靖国神社に対する特別な思い入れがあるように思える。阿部首相の世代は軍国教育を受けていないのに、それが怖い。どのように進んでいきたいのか、想像がつく。

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仕事疲れを紛らわすため、カフェでiPhoneで好きなロックを選び、たばこに火をつけた。高校時代、制服を着たまま海に飛び込む勇気があったら少し違った人生を送ったのではないかと、ふと考えた。体を動かした弾みでイヤホンが外れた。店内のBGMは、リストの「愛の夢」だった。
(大島尚悟)

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狂は気がくるうことではない。好むところに溺れること、憑きものがおちないことをいう。例えば風雅に徹する人のことを風狂の徒という。それは〈世間の埒外に逸出しようとする志をもつもの〉であり、狂とは〈最大の讃辞〉だったという。
痴の字が痴漢という忌まわしい語にもっぱら使われていることを白川さんは嘆く。本来はうつつをぬかすという意味だそうだ。ただ、狂ほどは激しくない。控えめな狂。昔の文人墨客には書痴などと称し、みずからを誇るものがあった。

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帰りの地下鉄の中、不意に触れる他人の肌が気になり、聞こえてくる笑い声も耳障りだった。潰れないよう気を配っていた耳元のニキビが、ぷつっと音を立てて弾けた。電車を降り友人に電話をすると「沖縄旅行に来ている」と言う。沖縄の空を想像してみたが、真っ暗な夜空のままだった。
(大島尚悟)

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ラフマニノフの交響曲第2番は叙情的な作品で、旋律が美しい。この曲を聞くと、日常風景が彩り豊かに見えてくる。バラ色の風景の中で、誰かと愛し合うような幸福感に満たされる。深夜、若者で騒がしいファミレスでドリンクを注文し、耳にイヤフォンをあてる。
(大島尚悟)

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ジャズは差別社会に生まれて、嫌なこと全て忘れさせる力を持っていると思うんです。いいものは常識なんて超えてもいいんだよってメッセージこそジャズの起源かなと。だからジャズは進化し続ける。
(SOIL & 'PIMP' SESSIONS : 元晴)

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親しい友人から、暴力と恐喝事件に遭っていたと、全てが終わってから打ち明けられた。また、別の友人は、難病を患いながら、最期までその心情を家族にも漏らさなかった。世間には、人に迷惑をかけてはならないという教えはあるが、苦しみの伝え方の方を知りたい。
(大島尚悟)