『よみがえるロシア』五木寛之
今読むべき本がわが本棚にあった!
ロシアとあるけれど、主題はロシアとともにある世界の全てと言って良いだろう。1991〜92年頃に行われた対談の記録。
ロシア的世界は、文明社会の始原的なるモノを多く抱え込んでいると思う。一人の人の中にも自然的なものと文明的なものが共存しなければならないように、この地球にはロシアがある。ロシアの中にもヨーロッパがあり、アジアがある。キリスト教も仏教もイスラム教もある。これは歴史的に言えば、農耕的世界と遊牧的世界が隣り合い対立し共存し絡み合ってきたことの、遺存であり現在だ。
…[全文を見る]
『たべものと日本人』河野友美、1974年
日本人はあまり手の込んだ料理をしない。自然が豊かで、新鮮ですぐ食べられる食材があることが前提になっている。味付けはだいたい醤油か味噌で、どんな料理でも旨味で全体を締めることに変わりがない。新たに海外から調理法や調味料を取り入れても、アミノ酸で食べるような日本的なものに造り替えてしまう。こうした味の単一性が、価値観や行動の幅の狭さと結び付いていると著者は謂う。
食文化の本かと思ったら、これはむしろ文明批評か。出版から半世紀近く、日本人と食はどのくらい変わったか。
平常、ロフトベッドの下の机に山と積まれていて、
大停電地震の時にはどしゃっと崩れたりした。
その本を整理するために、ようやく窓の下に収まる低い棚を二台。
押入れ収納ボックス(楽天市場/BONBON)
だいぶスッキリしました。
…[全文を見る]
日本語の文法とは……
1972年に発行された『カード古典文法』という本がうちにあって、著者の青木一男は高校教諭だけあって学校教育向けの内容で、「こうだ、こうだ」の羅列で、これじゃ憶えられても理解できはしないよね、というそんな感じの反省から、藤井貞和『日本文法体系』という本は生まれたのだろう。2016年の発行。
この本では、助辞/助動辞を中心に、個別の説明ではなく体系的な記述を試みている。例えば語尾に付く「き/り/し/む」は、それぞれが関連を持っていると考える。そして「り」はアリのアが落ちた形であって、…[全文を見る]
『クマにあったらどうするか アイヌ民族最後の狩人 姉崎等』を読んだ後で、吉村昭のクマ小説を読んでいたら、何だか深刻な問題意識に襲われてしまった。
なので、カクヨムに2018年に載せた『「小説になっていない」とはどういうことなのか』の第二回として足す形で、「吉村昭の熊小説と熊の実際」を書いた。
「どんなものなら小説になっていると言えるのか」っていうのは、かつて夏目漱石の『坑夫』を読んでから、「小説になっているのは良いことなのか」ということと同居して、いつも頭の片隅にある、私にとっては馴染み深い問題です。お暇なら読んでネ。
『20世紀言語学入門』と『言語学講義』
加賀野井秀一『20世紀言語学入門』
1995年に発行されたこの本は、二十世紀の末葉に在って、その百年分くらいの言語学の展開を振り返る内容。ソシュールからチョムスキー、それ以降に至る学史を追いながら、幅広さと奥行きを感じられる。切り口としては、副題に「現代思想の原点」とあるように、哲学的な面を見せている。個人的にはスワデシュの言語年代学に端を発する計量的な研究に馴染みがあるんだけど、その方面の話は出てこない。
加藤重広『言語学講義』
…[全文を見る]
町田健『言語世界地図』
世界各地の言語の状況や特徴について俯瞰的にまとめた一冊。記述は専門的言語学的な詳しい所までは及ばず、読み物として楽しみつつ、世界言語への視野を持つための導入になる内容。
欠点を挙げるとすれば、日本語を取り上げるならもうちょっと突っ込んだ方が(近代日本語の成立過程とか琉球語との関係とか)良いと思うし、北米や北東アジアの少数言語もどこかで言及してほしかったような気はするが、雑誌連載としての制約かもしれない。ただ中国語に関しては、広東語と台湾語だけを項目として立てるにとどまることは、どうしても不足という感じが拭えない。
とはいえ手頃な新書という形でこうした知識が読まれることは非常に有益であり、言語というものに興味を持つ全ての人にオススメしたい本。
フルーツバスケットanother 3|白泉社
後半は連載で読んでなかったので初見。
呪わしいものに日常を侵されていたとしても、夢のように一夜で全部解決なんてことはないけれど、前を向いていれば‥
「みんなが笑っている場所/みんなが離れていかないような…自分/温かい処」
はあるんだ。再び。
貨幣の「新」世界史──ハンムラビ法典からビットコインまで | 種類,ハヤカワ文庫NF | ハヤカワ・オンライン
カビール・セガール著、小坂恵理訳。
第一章が何だか読み進めにくい気がしてずいぶん放置してしまった(文章が難しいわけではない)けど、第二章以降はおもしろくなって一気に読了。第一章は飛ばしておいて最後に読んでも良かったかも。
なぜ私たちはお金に惑わされるのか?
私たちはなぜこれほどまでに「お金」に翻弄されるのか? ウォール街の投資銀行家が、金融危機の渦中で抱いた難問に挑む。 人類誕生以前にまでさかのぼる貨幣のルーツ、前身…[全文を見る]
最近読んだ。
『通貨経済学入門』宿輪純一、日本経済新聞出版社。
円高対策、ユーロ危機、元切上げ、東アジア共通通貨――「通貨問題」の全て、グローバル経済の本質がわかる! 激動する「通貨経済システム」の歴史・制度・理論・トピック・将来展望を第一人者が明快に解説する決定版!
2010年の旧版を古本で。為替、交際通貨の基本を押さえられる。難しくなく書いてあるけど所々文節が整理不足かな。
最近買った本。
- 『検証 日韓会談』高崎宗司、岩波新書
- 『日韓外交史 対立と協力の50年』趙世暎、平凡社新書
事実関係の確認のために。事実に基かないことは言う価値がない。
最近買った本。
- 『英語の歴史』中尾俊夫、講談社現代新書
- 『英語の歴史 過去から未来への物語』寺澤盾、中公新書
このたぐいの本はたくさん出ているので手頃なところから。英語の歴史、だいたい把握。
はじめての生理学 上下巻 田中冨久子
人体の仕組みの基礎知識。慣れない分野なのもあってすらすら読むというわけにはいかなかった。でもこういう関係のももっと頭に入れたい。
最近買った本。薮内清『中国の科学文明』
ブックオフオンラインで注文したら0円になって、なんでかと思ったら「不備が見つかったのでタダにするよ」というしおりが。わりと美品だと思うけど。
最近買った本。
原田信男『歴史の中の米と肉』
日本の食文化における米と肉の対立に着目し、社会史的にその展開を追う異色の論考。
最近買った本。アガサ・クリスティのポワロもの。
この前まで Gyao! でスーシェのポワロを配信していたので久しぶりに観ていたら原作も読みたくなったのだった。
ついでにミス・マープルも。
ブックオフオンラインで入荷待ちにしていた本が今年になってからちょいちょい入るのでその都度買うなどしている。
- 『世界言語のなかの日本語 日本語系統論の新たな地平』松本克己
- 『継体王朝 日本古代史の謎に挑む 第7回春日井シンポジウム』森浩一/門脇禎二編
- 『中国古代の科学』薮内清
- 『ヴァイキングの暮らしと文化』レジス・ボワイエ
- 『則天武后』気賀沢保規
- 『中国の古代文学(2) 史記から陶淵明へ』白川静