北海道に縁の深いいっとくでは、こちらの漫画を読んでおられる方も多いと思います。
今、9巻まで出ています。
1頁平均3回洒落た言い回しの冗談が出てくるので、慣れない方は「無理」と1巻で投げ出してしまわれたかもしれません。私も最近、よくわからない冗談が1頁平均1回出てくるミステリを読んで、冒頭50頁を読み終えるのに三日かかったことがあり、「ああ、『波よ……』の話題を人々からあまり聞かないのはこういうわけだったか」と思いました。でもそのミステリ、最後まで読んだらおもしろかった…[全文を見る]
お話しするにはログインしてください。
北海道に縁の深いいっとくでは、こちらの漫画を読んでおられる方も多いと思います。
今、9巻まで出ています。
1頁平均3回洒落た言い回しの冗談が出てくるので、慣れない方は「無理」と1巻で投げ出してしまわれたかもしれません。私も最近、よくわからない冗談が1頁平均1回出てくるミステリを読んで、冒頭50頁を読み終えるのに三日かかったことがあり、「ああ、『波よ……』の話題を人々からあまり聞かないのはこういうわけだったか」と思いました。でもそのミステリ、最後まで読んだらおもしろかった…[全文を見る]
若竹七海の新作ミステリが出たので、早速読みました。
舞台は 2020 年の神奈川県葉崎市。COVID-19、失職、家庭内暴力、貧困……とつい、今自分がいる場所で起こっていることのような気がする臨場感。ここに登場するスターは警部補二村貴美子。マスク+フェイスガードが義務づけられる警察で、品薄のフェイスガードの代わりにサンバイザーで顔を覆ってどこまでもどこまでも行く二村警部補。光っていました。苦い、苦しい話ですが、この警部補のまわりだけはほんのり光っています。
https://poolame.hatenablog.com/entry/2021/08/31/170912
>> id:nojapannolife
買いました〜! 愉快で幸せです。
高野雀『しょうもないのうりょく (1)』を拝読しました。これはもう、大発明、大傑作。およそ人間の望むものがすべてここに詰まっていると豪語したい勢いが得られます。最高なんです。おすすめです。みんな読んだらいいと思う。
「そのとおりよ」ミス・ヒンチクリフが大声で叫んだ。「それに、リトル・パドックスの客間のドアも自然に戻るようになってる。こういうスウィングドアじゃないけど、ずっと開きっぱなしにはならないわ。だからレティ・ブラックロックは、ハイストリートのエリオットの店であのとびっきりすてきな、大きなガラス製ドアストッパーを買ったのよ。はっきり言って、あの人がわたしの鼻先であれをかっさらってしまったこと、絶対に許さないわ。わたしはあの老いぼれ相手にうまく値切っていたところだったのよ」(p.29)
「わからないわ」「あら、わかってるわよ。…[全文を見る]
「そして大佐は?」「ミス・ブラックロックが読みたいと言っていたインドについての本を持って、一度、訪ねたとか」「読みたがっていたんですか?」「読まずにすませたかったが、断れなかったとミス・ブラックロックは言っている」「そうでしょうね」クラドックはため息をついた。「誰かが本気で本を貸したがっていたら、断ることはできませんよ!」 アガサ・クリスティー『予告殺人』羽田詩津子訳
気をつけなくっちゃいけませんね。
新訳で出たので、久しぶりにマープルものを読んでいます。どんどん変わっていく社会を、老人があちこち顔を出さないの…[全文を見る]
俺に会ったことのある人は、みんな口をそろえてこう言う。東山さんってさわやかでイケメンなのに、腰が低いナイスガイだわ。 東山彰良『ありきたりの痛み』より
読んで四年経った今さっき、これが冗談であることがわかりました。
東京新聞の読者プレゼントに応募して当たりました。わーい。泉麻人さんがバスでどこまでも行く本です。バス、ふだん使わないので新鮮な気持ちで読みました。電車と徒歩だけだと行こうと思う場所が限られてしまうのです。ほとぼりがさめたらバスに乗って遊びに行きたいです。
ブログに喜びをしたためました。
https://poolame.hatenablog.com/entry/2020/05/23/105414
ふだんは無軌道に開いてしばし眺めて「ほほう……」と書棚にもどすという見方をしているこの本。なんとなく通読してみました。件数がたっぷりしているのでテキスト部分はさらりとしています。映画の撮影で使われた場所なども出てきて「あ、あそこがここか」と思いながら読みました。世紀単位で建物が残っているということ自体がうらやましくなったりもします。幽霊屋敷でも富は富だなあと思いました。和文で「成仏できずに」とちょこちょこ出てくるのですが、原文はどういう表現なのでしょうか。
おはようございます。怪談の季節ですね。
怪談のひとつも読まないと眠れず、かといって怪談で寝落ちすると午前三時頃、鳥のぎゃーすぎゃーすという鳴き声で目が覚めて嫌な気持ちになる、そんな夏がいよいよ近づいて参りました。岩井志麻子と徳光正行のコンビで『凶鳴怪談』なる実話怪談集が出ておりましたので「あら、どういう趣向かしら」と手に取ってみました。特に趣向というほどのものはなく、いわば「お友達本」で、いつもの志麻子節の怪談(時々とてもこわい)に徳光正行の素人っぽい語りのお話が添えてあるだけでした。そして徳光氏の著者略歴に光る「二世タレントとしての地位を築く」という文言。この表現を氏が受け入れたという事実がちょっとこわかったです。
道端に咲く花の名前がさっぱりわからないので買いました。
まず、手に持ってみて「重っ!」とびっくり。フルカラー、発色のよい紙でずっしりとした重みがあります。色と、咲く時期で引けるようになっていてとっても便利。花、見た目がこわいのもいっぱいある。これまでは「これは花だろうか葉だろうか」とうすらぼんやり見てきたものも、このガイドでぐいぐい観察できるといいなあ。現状、好きな言葉は「観賞用に栽培されているが、空き地などで野生化している」です。
先月は若竹七海の葉山晶シリーズを読み返して、合間に『ともに学ぶ人間の歴史』を読んだら時間がなくなり新しい本が読めませんでした。新刊で読んだのは、しばらく前の話題作『メインテーマは殺人』です。探偵はすごく感じの悪い、何を考えているかわからない、おまけに顔色も悪いホーソーン。彼に「俺の本を書け」と持ちかけられてうっかり乗ってしまったワトソン役に「アンソニー・ホロヴィッツ」。この中年二人がとにかく仲が悪く、終盤に出てくる喧嘩なんか絶妙にリアルで「うああああ」となりました。まさかそんな二人にあんなことが起ころうとは……おすすめです!
ブログには先月読んだ葉山晶への気持ちをしたためました。
https://poolame.hatenablog.com/entry/2020/05/01/115023
『ともに学ぶ人間の歴史』の増補版を通読しました。おすすめです。学ぶことで他者と出会う、外に出るという構えに貫かれた教科書で、「通史をざっと勉強したいな」と思っている大人の人にもいいと思います。通史をざっと勉強するとき、「国」と「国」のはざまや、時代の変わり目、支配層以外の人びとの動きなどがどうしても見えにくくて、そのせいで鎌倉時代とか、ちょっと謎っぽいことになってしまいまがちだと思うのですが、その辺のかゆいところにも目が届いていて、おもしろかったです。
葉山晶シリーズ 5 冊目を読みました。
この前の長編『悪いうさぎ』から実に 13 年も空けての出版だったので、発売された当時はうれしくてうれしくてたまりませんでした。でも内容はハード。フリーで契約していた探偵事務所が店じまいして、所属も後ろ盾もなくなった葉山晶がいろんな人に利用されてずたぼろになってしまいます。所属する組織がない、口はうまいが嘘はつけない、まじめ、そして女。そんな葉山晶がちょうどよいところにちょうどよいタイミングでいてしまい、ひどい目に遭って遭って遭い尽くして、自分自身に対しても失望する。そこから彼女が立ち直ったきっかけは、他人のために駆けだしたことでした。やっぱり、時に自分の非力さにさいなまれはしても、やましいことのないシンプルな生活は最高です。おすすめです!
好きな小説が映像化されても、なかなか、すっとは楽しめない。見ながら頭のなかでいろんな操作を加えないと。
今年、NHK で放送したドラマ『ハヤマアキラ 世界で最も不運な探偵』は、未読の状態で見ていれば「ふうん」とそれなりに受け容れて、そこから原作の方へと行けて、それはそれで幸せな展開があっただろうと思います。でも、私は原作のファンなので、うまいこと乗り切れませんでした。それでつい、シリーズを最初から読み直すはめに。
https://poolame.hatenablog.com/entry/2020/04/04/223721
出自のよい、生活臭のない、政治的権力の座にはいないけれどもそれに無縁無関心というのではない、美しい容色を想像させる、体力のある、教養もある、自我主張の強くない、執拗でない、好意にみちた、まめで、多様の情趣に対応できる、女性に寛大であり、友情にもあつい……というような男である。
阿部俊子『全訳注 伊勢物語』(上)の「はじめに」より。ずっと手元にあって、ごくごくたま〜に読んでいる本なのですが、この辺りは目がすべっていたとみえ、今初めて脳にひびきました。『伊勢』の「男」像、すごいなあ。「体力のある」というところと「まめ」「多様の情趣に対応できる」ってところは関係があるのでせうね。「政治的権力の座にはいないけれどもそれに無縁無関心というのではない」というところもなかなか味わい深く、機会があったら一息に発音してみたいです。
桜玉吉『日々我人間 2』、あまりにまともで正気ですばらしかったです。読み終えるのに三日くらいかかりました。何度読んでもおもしろいだろうと思います。現状では『この世界の片隅に』の二度目の視聴後、絵の首の角度に影響を受けました、というその自画像が、タッチも人物もかけはなれているはずなのに、すずさんに似ていたことにしみじみと驚愕しています。あと、こどものころ、お母様やお姉様が空中に指で絵を描いていた件ですとか、絵描きとしての話もちょこちょこあって「絵を描けるっておもしろいことだ」と思いました。漢詩っぽい頁もあり、おすすめです!
「このひと、前に何か読んでおもしろかったんだよな〜なんだっけな〜」とそれが何だったか思い出せないまま読み出して、「この、どうしても受け付けない要素も含みつつ、それでも読み進めていくと、ちょっといい……みたいな感じは何か別のところで味わっているな」と考えつつ読み終え、ハロプロのもろもろから受ける感じと似ているんだと気づきました。「うっ、ちょっと勘弁」となるよな諸々を含みつつ、我慢していると、最終的には「うむ」と思える……虚数とかいまいち納得行ってないけどとりあえず最後まで解いて、それから全体を見渡す…[全文を見る]
起きて即これを拝読しましたわ。いやもう、ほんとにおもしろい。部分もおもしろいし全体もおもしろい。びっくりするけど納得もする。
名著ですわ!
仕事先では「姫〜」と呼ばれ「なんですか 他国の姫?」と答え、娘が散歩に出ようとすると「お供を付けなくて大丈夫?」と聞いてくるプリンセスお母さん。すばらしいです。ざべす辺境伯領に暮らす私たちも負けてはいられません。元気いっぱい、気高く優雅に生きて参りますわ。とりあえず、今宵はここまでにいたしとうございます。この本を坂本花織様にプレゼントするかどうかはよく考えて決めます。では、おふとぅんぬへ。みなさま、おやすみなさいませ。