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短歌のことを語る

水ぬるむ蛇口の向こうに野菜カゴたまねぎたちがキスをしている

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短歌のことを語る

過ちは天気予報のせいにしてマシュマロから落つ針に刺さるる

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短歌のことを語る

「あ」と書いて「い」と書いたあと続けてよ石を並べてもハートにはなる

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窓際に そっと寄り添う 桜の木
お前の知りし 人はもうなく

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短歌のことを語る

咲き乱れ 風にたゆたう 山桜
散りゆく様も 潔きかな

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短歌のことを語る

手を伸ばす梢に寒の戻りたる戻らぬ人の春をぞおもふ

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短歌のことを語る

波弾け 岩に染みゆく 潮の香は
揺らめく風の 気ままなままに

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短歌のことを語る

寒月は何処に往かむかるがるとひと夜で梢を走り抜けたり

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短歌のことを語る

風運ぶ 桃の香りに 振り向けば
遠く聞こえる 囃子の音色

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短歌のことを語る

にゃあと鳴き そうっと擦り寄る 鼻先に
すうっと差し出す 指は餌でなく

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飽き飽きて遠き山見る鳥を見るあなたの指におびき出される

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鯛の背に紅さし来たればきみを想う空の上でもよく釣れますか

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結論はあかさたなでは言えなくてさんまの骨と袋に詰める

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老猫やたれにも訪なふ春なれば古バケツにも花はあふるる
(老猫:ふるねこと読みます)

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ビル街の闇より黒く沈みたる猫のまなこに問われたり愛

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出るまでに まよいまよいし 服のいろ
こころ満ちたり 雨は降れども

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濡れてなお打たれるために頬かざす迷いは紅の色と流れよ

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陽を浴びて雪は溶けども溶けきらぬ
募るおもいに惑いし紅顔

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器用なら言葉はいらずに伝えしものを
不器用ゆえに言葉にならず

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短歌のことを語る

痩せ猫のとんがり山背に降る雪もなかばで消え失す春近し