卑弥呼以死大作冢径百余歩徇葬者奴婢百余人
卑弥呼は死んだ。大いに冢を作る、径百余歩。徇葬する者、奴婢百余人。
…「以」の字は「~もって」の意味にとるとここの文が読めなくなる。例えば岩波文庫『中国正史日本伝(1)』では「卑弥呼以て死す」と読み下しているが、これでは漢文法を無視しているだけでなく和文としても意味をなさない。「以」は「已」と縁が深く同音で、ここの「以死」は「已死」に同じ。つまり dead である。
…この当時、中国では墳墓の流行が過ぎ一旦廃れている。卑弥呼の墓が「冢」だというのは、その観念における「墳」に当たるものでなかったことを示している。
…徇葬の字義は「殉死」と同じくない。「陪葬」の意味にとってよければ考古学的知見に近づく。
