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勝手に引用のことを語る

実のところ、おれは言いすぎたのだ。彼は蒼白になり、打ちのめされ、いまにも気を失いそうだった。おれは思った、『言ったって何になる? この男はいつも無邪気なのだ。無邪気な者に批難することはできない、彼等はつねに罪がないのだ。押えつけるか、消してしまうか、それより手がない。無邪気は狂気の一種なのだ』
 彼が言った、「テエがこんなことをするはずはない。ぼkは確かにそう思う。誰かがテエを欺したんだ。コミュニストが……」
 彼は自分の善意と無知とで、絶対堅固に武装していた。
(p.187、『おとなしいアメリカ人 グレアム・グリーン全集14』)