クリスマスの夜、おじいちゃんリスが孫の家にやってきました。
「♪この世はやすらか 眠れよヒトよ♪」と口ずさみながら。
「”ヒト”ってなあに? おじいちゃん」
「ふむ? それは何かって?…”ヒト”はこの世に、もういないんじゃよ、坊や……、もういないんじゃ。でも、わしはその生き物を覚えている、お化けの様な。あいつらは、こんな大きい鉄のお椀を頭に着けていた。二本脚で歩いて、先に刀が付いた醜い鉄砲を持っていた。その目は鈍く光り、えらく大きい鼻はこんなで、それはお腹につながっていた」
「うわあ、”ヒト”がここにいなくてよかった」
「それでな、あいつらは何をするか分からなかった。ひどいけんつく者で、口悪で、荒んだ種族じゃった。いつも互いに戦い、争い、撃ち合っていた。一つの問題にいつまでもぐずぐずするし、すぐに他の諍いの種を探した。
それで、ついに言葉も失って、平たい足のヒトたちは反っ歯のヒトたちを射ち始め、草を食べる者たちは肉を食べるヒトたちと戦争を始めた。それは決着が付かなかった。
それは酷かった。それは怖かった。どうして? あいつらは戦って、戦って、戦った。ただ……ただ二人のヒトが残るまで」
二人のヒトは互いを射ち殺しました。
「それが地球で最後のヒトの死んだときじゃった」
戦争は終わり、動物たちが荒れ果てた街の様子を見にきました。物知りのフクロウは一冊の本を見つけました。
「わしは尋ねた。”フクロウさん、なにが書いてありますか?”。フクロウは言った、”《汝、殺してはならぬ》…、ふむむ、この本にはとても良いことが書いてある。でも、ヒトたちはこれを守らなかったのだな。《汝ら、この散り散りに散った地を建てなおせ》”」
動物たちは、ヒトがいなくなった跡に、新しい街を作り始めました。
そして、「♪この世はやすらか 眠れよヒトよ♪」と歌うのです。
クリスマス上映会のことを語る
