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自分(id:gustav5)のことを語る

[Living with BEETHOVEN]
○BSフジで年末にやっていたベルリンフィルとサーサイモンラトルのベートーヴェンチクルスの映画で、ラトルと奏者がそれぞれ曲を解説するもの。
○たとえば交響曲1番の場合「筋トレしたハイドン」という副題がついていて、ベートーヴェンは先行者ハイドンに影響を受けているのですが、ラトルは1番の冒頭20秒の間に7つのサプライズがあり人々が期待していない響きでもって「平手打ちして」いて、この曲をベートーヴェンの「(あなたより面白い曲ができるという)ハイドンへの挑戦状」という解釈をしています。終楽章においてもハイドンの影響があるのですがそこにあるのは筋トレした男性的なハイドンである、というとらえ方です。またサー・サイモン・ラトル自身はベートーヴェンが「美しく弾かれすぎる」という意識を持っているようで、第九の4楽章でもチェロに対して決してきれいな音が出るような弾き方を要求していないことを奏者が明らかにし、リハでもその通りになっています(わかりにくいかもなんすがFreude,schöner Götterfunkenと同じ旋律のメロディが4楽章にでてくるところでその指示をしている)。きれいな音ではない代わりに「遠くからの声」に聴こえるような指示で、とても細かいところなのですがううむ、と唸っちまったんすが。ちなみに第九についた副題が「ハイになった(モーツアルトの)魔笛」です。けっこう刺激的な作りになっていました。
○ベートーヴェンが美しく演奏され過ぎている、とうことについて(戦後は)「人々は美を体験したがっていた」という解説が番組内にあったものの、いまは必ずしもそうではないということのようで。いったい音楽における美ってなんなのか、という根源的な疑問もあるのですがそれはともかく。根っこに流れる「芸術というのは美しいもとは限らない」というのは個人的にわからないでもなかったり。
○残念なことに私はドイツ語をあまり解さないので字幕を通じて、という作業が必要で、年賀状を書きながら録画していたものを視聴していたのですがしばしば手を止めちまいあんまり効率は上がりませんでした。でもとても濃い時間を過ごせた気が。