何語かわからない長文の書かれたTシャツを着ていたことがある。
ある日、それを着てニューヨークのレストランでトイレを待っていたら、後ろに並んだおばあさんがしげしげとその文章を眺めて、いきなり音読し始めた。
顔を上げて私の顔を見て、「フランス語ね」
それからまた暫く読み進めて、何が書いてあるのか説明してくれたけれど、内容は覚えていない。
半分くらい(おそらく)読んでから、「なんでこんな(ことが書いてある)Tシャツを着てるの?」と訊かれて、いたく弱った。
ただデザインが気に入って買っただけ、と説明しても、不思議そうな顔をしていた。
数日後、金魚の絵柄とともに「勝手がちがう」と日本語で書かれたTシャツが街頭で売られているのを見て、これが目の前にあったらものすごく説明しやすかったろうなーと、複雑な気持ちになって、ちょっと笑った。
ちなみにあれ以来、文字の書かれたデザインに過敏に反応するようになってしまい、殆ど買っていない。
しまのことを語る
