夏に蒔かれた種は、気づかぬうちに根を張りめぐらせていた。
十二月の、冷たくそのくせ華やかな空気の中で
背中のちいさな温もりや、犬っころみたいな眼が苦しくなって
眠ったフリばかりしてて、ごめん。
泣かせたくないなんてごまかしてて、ごめん。
大人のくせにお前にカードを切らせてしまって、ごめん。
と、いくつもの「ごめん」が胸に滴り落ちるのを溜め込んで
月明かりを頼りに手を伸ばしたら、雫をこぼしているのはお前だった。

手探りで
睫と睫を
頬と頬を
唇と唇を
胸と胸を
長いファスナーをひとつひとつ噛み合わせ
肝心なことは何一つ言葉にしないで
それでもはっきりとわかったんだ。
俺にもお前にもある過去と現在(いま)のことが。
うさのことを語る
