---- COBALT (2) ----
現代はひとつの情報から膨大な情報にアクセス可能だ。
グランド以外の彼。バイトの内容。部屋の間取り。憎むもの、愛するもの・・・。
馬鹿げたファンクラブのおかげでくだらない情報までが簡単に手に入った。
が同時に、そのシルエットをコンマ1秒遅れで追うのが自分だけじゃないこと、
つまり彼の存在の大きさと遠さをも思い知らされた。
だから、彼が故障でトッププレイヤーを諦めコーチとして母校のグランドに立ってからは
彼女との交際も含めて陰ながら応援し、それで満足していたのだ。
少なくともそのつもりだった。
しかし羽を傷めて省みられなくなった猛禽の姿は、それまでの強さと自在さに
脆さと不自由さという陰影をたたえ、かえってロシウを惹きつけることになった。
その上、秋の定演に向けた練習で顔を合わせるようになりロープの引きは急激に増した。
そうして、十五年ぶりの猛暑だったこの長い夏を、
生臭い罪の匂いと甘美な陶酔をまさぐりながらロシウは過ごしたのだった。
うさのことを語る
