---- COBALT (1) ----
かすかな薬品の匂い.
シンクから伸びたパイプのアール。
コバルト色の瓶が並ぶガラス棚と、にび色の器具が出番を待つ吊り戸棚。
放課後の実験室はロシウにとってこの世で最も透明な場所だ。
暗く冷たい海底の泥から未知の生物が現れるように
ここになら真実のカケラくらいはありそうに思えた。
でも結局、アンバランスで残酷な季節のなかで彼が見つけたのは、
集団からの疎外が義父のことだけでなく自分にも起因していること、
それがどうにもならない性質のものだというゴミクズ程度のものでしかなかった。
窓の向こうの風景以外には・・・。

「あの日、僕は深海に錨を落としてしまったのだ。
それからは、なにをしていてもロープの小さな引きと痛みを感じてる。
身体の一番深いところで・・・」

うさのことを語る
