----- JACK (1) -----
昔むかしある島に人々が海を渡ってやってきました。
そこは石のごろごろと転がる荒れ地で、おまけにお日様もなかなか照らない寒く暗いところでした。
森は黒々と、湖は白々とつめたく光っています。
人々がやっとそこでの暮らしに慣れて畑や柵や小屋を作り小さな国が出来た頃のこと。
村にジャックという少年が現れました。
身寄りのない彼は森の奥に一人寝起きして、昼間だけ村の原っぱにやってきます。
そしてどこからかたくさんの鳥を呼び寄せ、歌を歌って空に輪を描かせてみたり
森から木の実を拾って来させたりして、一日中遊んでおりました。
そんな不思議な力に村の子たちはすっかり夢中です。噂は大人の耳にも入りました。
ジャックの話を聞いた大人の半分は不機嫌になり、半分は嬉しそうにしました。
何故でしょう。それは近頃村の畑を何者かが荒らして困っていたからでした。
もしかしたらそれがジャックではないかと疑ったのです。
半分の人は、ジャックには文句を言う親もないということにイライラしました。
半分の人は、ジャックに「その力で畑に実をたくさんつけろ」と命令しようと思いつきました。
そして同時に大人たちは「あの子と遊んではいけない」と命じたのです。
理由は、そろいも揃って「なんだかへんな子だから」でした。
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