無邪気に会いたいなんて思わない。好きだったひとにはむしろ会いたくない。
そういうもんだと思っていたら、「えー、もう好きとかなんとか関係ないから興味本位で顔がみたいわー」って
友人があっけらかんと言って驚いた。
話は戻る。
そのころ団地住まいだった私の家は公園で遊ぶ子供の声がよく響いた。
入梅り前の明るい午後の空にある日私の名を呼ぶ声が聞こえる。
学校から帰宅してすぐのセーラー服のまま、驚いて障子に張り付いた。
男の子2人の声で代わる代わる二度ずつ。
ひとつは聞き覚えがあった。
間違いなかった。
もう一人は覗き込んだら見えた。あの子の友人だ。
わけがわからず、わたしはながーいこと立ちつくして
ようやく着替えて外へ出たときには彼らの姿は無かった。
翌日、教室で顔を合わせると、彼は一瞬いわくありげな眼をした。
いや、いわくありげな眼はいつものことなのだ。
数メートル離れた距離を一瞬なにが飛び交ったのか、今もわからぬままだ。
そういう微妙な関係というのがいくつかある。
その関係の「微妙さ」こそが尊くていつまでも後を曳く。
