id:florentine
勝手に引用のことを語る

「リアリズムの小説にはリアリズムの文法が、ファンタジーにはファンタジーの文法があり、どんなに不可解に見える小説でも読み進むにしたがってその文法に慣れてしまえば理解することはむずかしくない。(中略)ところが、ラファティの作品の文法ときたらメモ用紙になぐり書きしただけの粗末なものに見える。(中略)それにもかかわらずというべきなのか、それゆえにというべきなのか、読者であるぼくたちは最初から最後まで新鮮な気持ちで、そこがまるで見知らぬ場所であるように感じつづけてしまうのだ」
 
高橋源一郎『文学王』 (角川文庫)より中略して抜粋