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勝手に引用のことを語る

「昔ですと、まえがきというものはふつう、男性の学究が自分の妻に、タイプを打ってくれた、子どもがじゃましないよう遠ざけておいてくれた、などと感謝して終わったものでした。でも今はそんな男女役割分担の時代ではないので、私は夫のゲリーに、面倒なワード・プロセッシングを手伝ってくれたこと、締切時間が迫ったときには臨時のベビー・シッターをつとめてくれたことに、感謝したいと思います。とは申しましても、そういう謝辞の裏側にあるものは、いつの時代でも同じです。つまり著者が本当に感謝しているのは、自分に寄せられた信頼(それが著者に自信をよびおこします)と、具体的な手助けを引き受けてくれる愛情なのです」
 
ロザリンド・ウィリアムズ『地下世界 イメージの変容・表象・寓意』(平凡社)より