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知らんがなのことを語る

【サウナ戦記】
島本和彦脳と言われようとも、銭湯で男が試される場所というのはサウナを於いて他にはないのであった。
初めてのスーパー銭湯に行き、体を洗い、メインどころのお風呂を堪能した僕の目に映ったのは「蒸し風呂」の看板である。おもむろに入る。
遅くともサウナに入った時点で目標を定める必要がある。時計があれば時間を定めるも良いが、あいにく蒸気が激しく時計があるのかもわからない。おもむろに一人の先客を定めて、「この人より後に出る」と定める。
30秒ぐらいでくじけそうになるが、我慢の一手である。1分、2分、時間が経過していくに従い、先客が蒸し風呂を出て、新たなメンバーが入ってくる。僕が目標に定めた人は微動だにしない。また1分、2分、何分経過しただろうか…。後から来た客が蒸し風呂から出て行き始める。僕が目標に定めた人は微動だにしない。何かがおかしい。ぶしつけながら目を凝らしながらその人を見てみる。目を瞑っている。…寝・て・る?ちょ、どんだけ余裕かましているんですか、アナタ!?寝ていないでサクっと出てもらわないとワシも出れないんですけれど!?
しかし、目の前の人は微動だにしない。僕より後に来た客が一巡した。頭の中では伊吹の親父が「歯のくいしばりと 血のにじみだっ! 」と延々と私を叱咤していた。何と戦っているかわからなかったが、私は確かにその時戦っていたように思う。そしてその努力は正しく報われた、意識が朦朧としはじめたその時、ようやく目の前の人が目を覚まし、蒸し風呂から出て行ったのだった。
…ここで、勝った!と自分も後を追うのは早計である。下品である。1分ほど更に待つのが武士の嗜みである。そしておもむろに立ち上がり、蒸し風呂から出て行く。完全勝利である。何に勝ったのかはわからないが、勝利である。
その後、私は再び体を洗い、幾つかの風呂を周ったのだった(水風呂は速攻で断念した)。そして喉の渇きを激しく感じ、風呂上りのコーヒー牛乳が恋しくなったその時、見てしまったのである。何を見たのか?「キングス・サウナ」という看板をである。
…思い返してみると私が悦に浸っていたサウナには「蒸し風呂」としか書いてなかった。対するにこちらは「キングス・サウナ」である。中には一騎当千のサウナーが雲霞の如くいるに違いない。どうやら私は完全に思い違いをしていたと悟らずにはいられなかった。だが先ほどまでコーヒー牛乳を夢想していた男が更にサウナに入れるのだろうか?しかしその存在を知ってしまった以上、戦わないという選択肢は無かったのだった。
島本和彦脳と言われようとも、銭湯で男が試される場所というのはサウナを於いて他にはないのであった。私はキングス・サウナの扉を開け…。