父は腕力と稼ぎが自分の価値の指標だったから、仕事を引退して体力が衰えたらどうやって自尊心を保つのだろうと私は常々思っていた。
この人は意外なことで再出発を切っていまのところ順調にやっている。
父は去年脳梗塞で倒れた。それを機に弟に仕事を委ねて隠居した。
父の母親も妹も脳梗塞がきっかけで入院し、弱り、亡くなっている。
ところが、その後の父を見ていて、父は「脳梗塞後にどこまでやれるか」が人生の一つの課題になっているように見える。その課題は父の人生に明らかに張りを与えている。
もし、あのまま糖尿病と坐骨神経痛と膝の故障を抱えているくらいでいたら、還暦をすぎて自分でドライブに行こうが、引き続きゴルフをやろうが、海外に行こうが、特にどうということもない。誰も感心しないし、父の性格から言って、達成感も満足感も得られなかったと思う。いよいよ子どもに干渉するのが関の山だ。
父はもう一仕事なにか大きなことをしないと、すごい男であり続けられないと感じただろう。そして父はいつまでもすごくなりたい男だから、その中で老いていくのはたいへんなストレスだったと思う。
くたびれ はてこのことを語る
