もちのすけは継母を”おかあさん”と呼んだ。継母はわたしたちから母呼ばわりされるのを嫌うので、わたしたちは継母を名前で呼んでいる。この”おかあさん”が予想外に効いた。
「あの人さ、いつも”あたしはこの家の人間なんだから!” って言ってる感じなんだよね。はてこさんたち帰ってくると、自分だけよそ者って感じがして、さびしいんじゃないかな」
「えー? わたし最初のころ、おかあさんって呼んだけど、わたしはあんたたちのお母さんじゃないから!”って言ってたし、馴れ馴れしくしないでムード全開だったよ」
「ああ、はてこさんは思ってないこと言わないからね。でも俺はなんかわかるよ、あの人の気持ち。あの人、自分は家族だ、って思ってほしいんだよ」
そうなの? 受け売りでわたしは翌日から、継母と話をするたび心の中で(この人はおかあさん、この人はおかあさん)と呪文のように唱えて過ごした。なんか、想像を超えて効いた。糊のついたふきんを水洗いするように、継母の態度は軟化した。
くたびれ はてこのことを語る
