兄は幼い頃から、周囲も心配するほどわたしを目の敵にしていた。
外で会えば無視したし、家に帰れば弟妹と結託して銀玉銃で撃ってきたり、ことごとく攻撃してきた。
でも誕生日にはいつも本とカードとすてきな小物をくれて、旅行に行くとお土産にアクセサリーをくれた。
「兄くんは、前世はてこにふられたの。それで恨んでいるのよ」
と霊能者の祖母は言った。
家が荒れていた間、両親の間に割って入ったのはわたしで、兄はいるのにいないような感じだった。
兄は母が出て行ったあと、棒杭を庭に立てて、毎日それを殴ったり蹴ったりしていた。
夜になると自分の部屋の壁を殴っていた。
成人すると中国拳法蟷螂拳を始め、単身アメリカへ渡った。
弟が結婚した日の夜、酔った父がわたしをみんなの前でなじった。
帰国していた兄はとつぜんテーブルを殴りつけて、初めて父を一喝した。
たちまち険悪な雰囲気になり、わたしは一人になろうとその場を離れた。
兄がやってきた。
「子供の頃のこと、悪かったと思ってる」
「俺がほんとはお前らを守ってやらなきゃいけなかった」
いまは嘘のようにやさしい。
くたびれ はてこのことを語る
